知佳
2024/01/16 (火) 14:31:38
8a575@909a7
鏡を覗き込む兄嫁を見て
「あっ、もうこんな時間かぁ。 今日は会議があるからなぁ。 そろそろ行こうかな」 突然こう言うなり腕時計を見る鉄平。 盛り上がりを魅せていた雑談を中断し席を立とうとする。 もう慣れ切ったとはいえ、不満顔のなつき。「あなた、今日は残業は?」
「ああ……わかんないなぁ……遅くなるといけないから、食事は済ませておいてくれ」
「…あっそう、わかったわ」
いうが早いか、鉄平の背中に回り、背広を着せかけた。
「あっ、すまん。 じゃ、行こうか」
「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」
弟の海人に見送られて玄関を出ていった。 鉄平の後ろに付き従ってなつきも表まで見送ったようだった。 後に残った海人はぼんやりと飲み残したコーヒーを啜った。 きれいな兄嫁のなつきに見送られる兄がひたすら羨ましかった。
「海人ちゃん、ぼーっとしてていいの? あなたも急がないと、学校に遅れるんじゃなくて。 もうすぐ受験でしょ? 頑張ってね」
「うんわかった。 じゃ、行ってくる」
自分の部屋に帰り、学校に行く用意をしてるフリはしたものの、どうにも気になることがあって出かける気がしない。
( —— もうそろそろかな)
何処の家庭でもそうであるように、なつきも家族を見送った後、決まってシャワーを浴びる。 街に繰り出して男漁りをするためだ。
続きを読む
通報 ...