知佳
2024/01/16 (火) 14:16:21
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短編 「もえ カッペリーニ」 第2話 Shyrock作
この記事は一般小説であり、純愛ものです。 ヒロイン:女子大生もえ(キリ番ゲッターさん) moec cappellini image 栄養学を専攻する私はやはり調理が好きだ。 そういえば大学に入った頃、たまねぎとマッシュルームを入れたパスタばかり作っていた。 最近は時間がない時にトマトだけのパスタを作って味を覚えて以来、昼食にはホールトマトの缶詰だけのものを作るようになった。 そう、題するとしたら、「トマトだけのトマトスパゲティ」とでも呼べばいいのかな? 今日は、ちょっとアラカルトで生トマトとカットトマトにしてみた。 湯が沸く間にソースの準備にお気に入りの片手鍋を取り出す。 使い込んだこの鍋は、底が淡く金色に見えて来るようになった。 この片手鍋は現在の一人暮しを始める時に真っ先に準備したものだった。鍋全体が分厚くて、取っ手が金属でできたしっかりしたものだ。わざわざ数件の店を巡り、やっと見つけたそれはどっしりとしていて、美しく光を反射して輝いていた。 予算よりだいぶオーバーしたが、結局気に入って買ってしまった。 でも、この鍋の底には花びら状の焼け焦げた後がある。
いつものようにちょっとだけ見つめてしまってからコンロにかける。
そう、この鍋の底に焦げを作った彼を思い出すからだ。
パスタ鍋の湯が沸くと、まず、生トマトをさっと茹でる。
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