知佳
2024/01/11 (木) 18:01:00
0e60e@909a7
片田舎のバス停にて
(お腹すいたなあ~……) 何か口に入れようにも、あるものと言えば田圃の脇を流れている用水路の水ぐらいなもので、コンビニもなければ電車に乗った時よくお世話になる立ち食いソバもない。 時間があるから元来た道を歩いて引き返そうとも思ったが、どんなに歩いてもこんな田舎では商店もなければ食堂などというものはありそうにない。ダーツの旅でよくやる、そこいらで働いている人に訊いてみようと辺りを見回すが、見渡す限り誰もいそうになかった。 どうやらここは、周辺の廃村に近い集落の人々が利用しているバス停のようなのだ。
壁に貼られている広告たるや、もう既に売られていない商品だったり、とっくに閉じてしまったであろう医院だったりと、まるでタイムトラベルしているような雰囲気だった。 唯一、選挙ポスターが貼られており、酷く場違いに思えた。
諦めて、知佳は停留所に引き返す。 年代がかり、埃まみれのベンチに腰掛け、ため息をつく。
停留所の外はポカポカと暖かな、いい天気だ。 空は青く澄みきっており、周囲の緑も、絵の具で塗ったみたいに色鮮やかだ。
日々施設内の喧騒と、ブログへの訪問数やランキングにあくせくしながら暮らす身には、丁度良い気分転換になるのかもしれない。
続きを読む
通報 ...