知佳
2024/01/04 (木) 09:34:40
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「援交ブルース (援助交際撲滅キャンペーン作品)」 第10話 Shyrock作
クルマは駅前から少し遠ざかり大通りから1本入ったオフィス街の一角に止まった。 昼間はOLやサラリーマンで賑わうこの界隈も、夜が更けると人通りも少なくなり静寂が訪れる。 クルマが止まるとおもむろに私は事の次第を話し始めた。 車井山さんの注意も聞かず再び援交をしてしまったこと。 客が二人の男性で散々もてあそばれたこと。 お金をもらってそのような不純なことをしている自分に嫌気が差したこと。 私が話している間、車井山さんは真剣なまなざしで聞いてくれた。 話し終ったあと、止めどもなく涙が溢れた。
車井山さんはそんな私をギュっと抱きしめてくれた。
私は車井山さんの胸に抱かれて泣きながら、忘れかけていた大切なものを思い出したような気がした。
私が話し終えても車井山さんは何も語らなかった。
髪をやさしく撫でてくれて、唇を重ねて来た。
(チュッ……)
それはほろ苦く切ない味のキスだった。
キスをしていると、何か心が洗い清められていくように思えた。
その時だった。
自分でも信じられないような言葉が私の口から飛び出した。
「車井山さん、今夜、私を抱いてくれませんか……お願いです……。私を、私を、ひとりにしないでぇ……」
車井山さんの優しさに包まれて、私は頭が混乱してしまっていたのかも知れない。
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