札学心理学

22心理学(3) / 1351

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問題2への解答

カント

カントは『自然科学の形而上学』において、心理学は哲学であり、科学になりえないと主張した。カントは、ニュートン的科学を優れた科学のモデルだと考えており、そこには、数学が適用できることと、実験ができることが科学の要件だと考えていた。この批判に対抗するためにその後の心理学者たちは「心理学」をどのように数学的にとらえ、どのように実験を行うか試行錯誤していく。近代心理学の父ともいわれ、実験心理学の大きな流れを作ったヴントも、カントの批判に対抗し、人間の心理を自然科学としてとらえようという考えからだったとされている。このように、当時の心理学の科学的欠点を見つけ、後の心理学を科学的な学問に導いたカントは、心理学史上大きな貢献をしたといえる。

参照文献
齊藤勇(2020) 『図解 心理学用語大全』 和光堂株式会社.

シュプランガー
類型論の多くは、人の性格はある程度先天的に決められているとしているが、シュプランガーは、後天的に形成される価値観の違いで人のタイプを分類する、価値類型論を唱えた。真理の探究に価値を置いている理論型、美の探究に価値を置いている芸術型、効率的であることに価値を置いている経済型、偉くなることに価値を置いている権力型、聖なるものに価値を置いている宗教型、誰かの役に立つことに価値を置いている社会型の6つに分類した。人をこの後天的な6つの型に分けることで、自分はどんな志向や価値を持っているのかなどの個人の性格を理解するための指標とした。このように、性格を理解するための考え方の一つとして価値類型論を提唱したシュプランガーは、心理学という学問において、大きな貢献をしたといえる。

参照文献
齊藤勇(2020) 『図解 心理学用語大全』 和光堂株式会社.
坂口典弘・相馬花恵(2017) 『心理学入門 心を科学する10のアプローチ』 講談社.

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