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    法介 2023/09/27 (水) 13:08:13

    智顗は曇無讖(どんむせん)訳の『大般涅槃経』の次の言葉を根拠として四種四諦を説かれております。

    https://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-sat2.php?mode=detail&useid=0374_,12,0442b09&key=陰有無量相悉是諸苦非諸聲聞縁覺所知&ktn=&mode2=2

    迦葉菩薩復作是言。如是等法若在四諦。如來何故唱言不説。
    佛言善男子。雖復入中猶不名説。何以故。善男子。知四聖諦有二種智。
    一者中二者上。中者聲聞縁覺智。上者諸佛菩薩智。
    善男子。知諸陰苦名爲中智。分別諸陰有無量相悉是諸苦。
    非諸聲聞縁覺所知。是名上智。善男子。如是等義我於彼經竟不説之。

    迦葉菩薩は再び仏に申し上げた。これらの法がもし四諦の中にあるのならば、如来はなにゆえに「説かず」と言われたのでしょう。(それに対して)仏が言われました。善男子よ、(四諦の)中に入っているのだけれども、それでもなお説くとは名づけないのである。なぜかというと、善男子よ、四聖諦を知る智に二種がある。一は中智、二は上智である中智は声聞縁覚の智であり、上智は諸仏菩薩の智である。善男子よ、諸陰は苦であると知るを中智と名づけ、諸陰を分析してみると無量の相(すがた・ありよう)があってそれらすべてが苦であると(了解)すえうのは諸仏菩薩の上智であって、声聞縁覚の知るところではない。善男子よ、このような(四聖諦を知ることに関する二種の智の、特に諸仏菩薩の)義は、彼の経にはついぞ説かれなかったのである。

    声聞と縁覚の智慧を中智と言い、菩薩と仏の智慧を上智と言うとお釈迦さまは仰せです。

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    法介 2023/09/27 (水) 13:08:52

    法華玄義』巻第一下で智顗は、四悉檀四種四諦の関係を次のように申しております。

    四種四諦一一以四悉檀對之。復總對者。生滅四諦對世界。
    無生四諦對爲人。無量四諦對對治。無作四諦對第一義。

    四種の四諦、一一に四悉檀を以て之れに対す。復た、総じて対すれば、生滅の四諦は世界(悉檀)に対し、無生の四諦は為人(悉檀)に対し、無量の四諦は対治(悉檀)に対し、無作の四諦は第一義(悉檀)に対す。

     生滅の四諦=世界悉檀
     無生の四諦=為人悉檀
     無量の四諦=対治悉檀
     無作の四諦=第一義悉檀

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    法介 2023/09/27 (水) 13:09:16 修正

    智顗の『法華玄義』巻第一下に次のようにあります。

    法若十因縁所成衆生。有下品樂欲。能生界内事善拙度。
    破惑析法入空。具此因縁者。如來則轉生滅四諦法輪。起三藏教也。

    若十因縁法所成衆生。有中品樂欲。能生界内理善巧度。破惑體法入空。
    具此因縁者。如來則轉無生四諦法輪。起通教也。

    若十因縁所成衆生。有上品樂欲。能生界外事善歴別破惑次第入中。具此因縁者。
    如來則轉無量四諦法輪。起別教也。

    若十因縁所成衆生。有上上品樂欲。能生界外理善。一破惑一切破惑圓頓入中。
    具此因縁者。如來則轉無作四諦法輪。起圓教也。

    https://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-sat2.php?mode=detail&useid=1716_,33,0686c06&key=若十因縁所成衆生&ktn=&mode2=2

    若し十因縁もて成ずる所の衆生に下品の遊楽有らば、能く界内の事善を生じ、拙度もて惑を破し、折法もて空に入る。此の因縁を具すれば、如来は則ち生滅の四諦の法輪を転じて、三蔵教を起こすなり

    若し十因縁の法もて成ずる所の衆生に中品の楽欲有らば、能く界内の理善を生じ、巧度もて惑を破し、体法もて空に入る。此の因縁を見れば、如来は則ち無生の四諦の法輪を転じて、通教を起こすなり

    若し十因縁もて成ずる所の衆生に上品の楽欲有らば、能く界外の事善を生じ、歴別に惑を破し、次第にに入る。此の因縁を具すれば、如来は則ち無量の四諦の法輪を転じ、別教を起こすなり

    若し十因縁もて成ずる所の衆生に上上品の楽欲有らば、能く界外の理善を生じ、一の惑は一切の破惑にして、円頓に入る。此の因縁を具すれば、如来は則ち無作の四諦の法輪を転じて、円教を起こすなり
    .
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    ここで言う「十因縁」とは、『法華経』方便品で略開三顕一で示された十如是のことです。この十如是を広く解りやすいように三周の説法として広開三顕一で説かれた内容をこちらで詳しくご紹介しております。宜しかったらご覧ください。

    三周の説法 法介のほ~『法華経』その⑥
    https://zawazawa.jp/yuyusiki/topic/20

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    法介 2023/09/27 (水) 13:10:07 修正

    >> 1で四種四諦を中智(声聞と縁覚の智慧)と上智(菩薩と仏の智慧)とに二分しておりますが、その事について補足説明しておきます。

    これは四種四諦を空理で展開した解釈で、生滅の四諦と無生の四諦の二種が「人空」なので声聞と縁覚の智慧となり、無量の四諦と無作の四諦の二種が「法空・非空」となって菩薩と仏の智慧となります。

     生滅の四諦=世界悉檀  ---(人空
     無生の四諦=為人悉檀  ---(人空
     無量の四諦=対治悉檀  ---(法空
     無作の四諦=第一義悉檀 ---(非空

    人空と法空の境は凡夫・二乗の第六意識仏・菩薩の第七意識(末那識)かということです。