ksusumu777 様
AC/PEN 出だし好調のようで安心しました。
私の手元に1935年発行のMAZDA VALVE MANUALのオリジナルがあります。
この中から有名どころの球の価格を抜粋してみます。
PP5/400 25/-
PP3/250 16/6
AC/PEN 18/6
当時の英国における球の価格表示はシリングであったようです。
1ポンド=20シリング
今回のAC/PENは当時PP3/250よりも高価な球だったのです。
これは当時傍熱型5極管には特許料が多く含まれていたことと構造が複雑なため製造コストが高かったためです。
ヨーロッパにおける5極管の特許はフィリップスが持っていたようです。
そのためアメリカの真空管メーカーがヨーロッパに5極管を輸出するためには関税のほかにフィリップスに特許料を支払う必要がありました。
そのためシルバニアなどはフィリップスの5極管の特許に抵触しない特殊な構造の5極管をヨーロッパに輸出していたようです。
たとえば米系の有名な5極管の42は特殊構造の輸出バージョンはエクスポートの意味と思われるEの文字を追加して42Eと命名して輸出していました。
AC/PENは1930年に登場しますが、有名なPP3/250はその1年後の1931の登場です。
1927年にフィリップスの傘下に入ったMullardからは1930年にAC044が登場します。
そして英国の出力管の代名詞ともいえるPX4が1929年の登場です。
登場したばかりのPX4はRE604と全く同じ物理特性の球で私たちが良く知るPX4とは異なる規格の球でした。
PX4らしい規格になったのは1930年からでAC/PENの登場と機を一にしているのは面白い所です。
AC/PENが活躍した期間は意外に短く1935年には保守用管に指定されています。
これはヨーロッパにおいて多極管の高感度化が急速に進んだためと思われます。
1933年に後継球のAC2/PEN(AC/PENの3分の1の入力で足りる高感度管)が登場しますが規格を見る限り古典管の趣は無く6BQ5等の近代管に近い特性の球です。
設計の古いAC/PENは感度が低い分三極管接続にした時のリニアリティーが良く古典タイプの純三極管に負けない音質が可能と思います。
見た目もPP3/250と同じ大きさのバルブの中にゆったりと電極か納めらていますから古典管の雰囲気が味わえます。
エージングが進めばPX4やPP3/250にも引けを取らないブリティッシュサウンドが期待できそうですね!
今年もあと数日となりました皆さん良いお年を!
博士さま
またまたお世話になり、ありがとうございました。
そうですか、当時はPP3/250より高価だったのですね。
まだPOPS&ROCKの愛聴盤を聴いている段階ですが、直線的でクールな響きのTelefunken1374dに馴染んだ耳には、濃厚でシロップを掛けたような、甘くビビットな音色に感じさせてくれるTUBEです。
英国と独のTUBEはともに音質は甲乙付けがたいのですが、やはりお国柄で音色の方向性が少し異なるように感じさせられます。
このTUBEは同じ英国製PX4のST管と比べるとガラスサイズが一回り大きいことが影響しているのか低域が豊潤で、どちらかと言えばバリウムゲッタRE604の低域にプリッとした弾力感を加えたような音質傾向にあるようです。
少しエージングが進んでクラシックの弦楽器の音質を聴くのが楽しみになっております。
寒波の雪に負けず、良いお年をお迎えください。