生態心理学の、環境の中から何かを知覚するという人間の行為の捉え方が、相互行為調整というはたらきを可能にしているとセットで捉えることができた。規範というのは目に見えない個々人の頭の中や主観的な経験によって定まるのだと思っていたが、生態心理学の場合は目の前にある環境(モノ対ヒト)(ヒト対ヒト)から特定の知覚を選び出すという過程で規範ができる、目の前に現れるということがわかった。規範やルールなど頭の中のことだと捉えると難しいが、目の前にあるモノやヒトがどのように関わり、それをどのように知覚するかということだと理解すれば日常のルールなどの捉え方も変わってくる。例えば、グループで話しているところに話に入る瞬間は規範が崩れるが、そのグループの人が自分を歓迎する反応があれば新しく規範が作られる。これは、自分という環境要素が他の環境要素とどのように関わっていくかによって次々と新しい規範が作られたり、壊れたり、加入したりという動きができる。規範が変化する瞬間にも規範があり、例えば、電話を切る場面では、ばいばい、までをどのように作りあうかである。なぜ必要な会話が終わった時点で電話を切らないのかというと、相互行為調整が行われることが関係している。授業でもこのような電話の例があったが、ここでなぜ人は相互行為調整を行うのかという疑問が生まれた。私は自分と関わる環境がどのようなものかを探るためだと考えた。自分の評価を維持したり、会話の規範を崩した際の圧力(例えばどうして返事をしなかったのかを答えるのは、返事をした理由を説明するよりも難しい)を避けることで、自尊心を維持することができる。この考えはヒトの本能とか自分の体験からの推測であり、生態心理学的な考えではないが、今までの講義や諸学派の考えを織り交ぜた考えであるので、なぜ相互行為調整を行うのかについては他者の本や研究からもっと調べていこうと思った。
規範の形成と変化について適切に理解されていると思います。その上で「なぜ人は相互行為調整を行うのか」という疑問を提起しています。もっともな疑問です。どうして特定の行為や知覚を選択するように相互調整が起きるのでしょうか。自尊心、ですか。どうかな。自尊心を生態心理学的に言い換えるとどうなるかを考えてみないといけないと思いました。すぐに解答は出ませんが、この疑問は貴重だと思います。
14点差し上げます。