雷霆を鍛えし者
zottei
2016/10/20 (木) 00:07:30
画鋲が己の行動に後悔するのは今回だけじゃない。幼少の頃から何度もしてきた。その度に彼はこんなことはもうやめようと決意する。だが、いざ悪事を見ると頭が真っ白になって、また後悔する。
この強い正義感が疎ましかった。好きでこのようになった訳ではない。なぜこんなにも己を苛ますのか。
そして、何よりも自分を嫌悪した。正義感だけが先行して、力もないのに考えなしに突進して、空回りして、後悔する。なんとも惨めで愚かしい。正義感に振り回されるだけの半端な自分が、まるでピエロのようで嫌いだった。それを受け入れて勝ちに貪欲になれずにいる自分が嫌いで嫌いでしょうがなかった。
「僕ってとことんアホだよな……」
そう言って己はこのまま停滞したように生きていくのだろと彼は諦感して、それだけで後悔の感情はどこかへ行った、一時的に。
画鋲は未だ勝ちに貪欲になれずにいた。
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