仏教のお話

Rの会:譬諭品第三 / 26

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ダルマ太郎 2024/05/11 (土) 23:53:25

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几を捨てる
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経:舎利弗。この長者是の思惟を作さく。我身手(しんしゅ)に力あり。当に衣裓(えこく)を以てや、もしは几案(きあん)を以てや。(いえ)より之を出すべき。また更に思惟すらく。この舎は唯一門あり。しかもまた狭小なり。諸子幼稚にして未だ識る所あらず、戯処(けしょ)恋著(れんじゃく)せり。或は当に堕落して火に焼かるべし。我当に為に怖畏(ふい)の事を説くべし。この舎すでに焼く。宜しく時に疾く出でて火に焼害せられしむることなかるべし。この念を作しおわって、思惟する所の如く(つぶ)さに諸子に告ぐ。汝等速かに出でよ、と。父、憐愍(れんみん)して善言をもって誘諭(ゆゆ)すといえども、しかも諸子等嬉戯(きけ)楽著(ぎょうぢゃく)し肯て信受せず、驚かず畏れず、(つい)に出ずる心なし。またまた何者かこれ火、何者かこれ舎、云何なるをか失うとなすを知らず。ただ東西に走り戯れて父を視てやみぬ。
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太郎訳:シャーリプトラよ。この長者は、このように考えました。私は、力に自信がある。木の箱に入れるか、机の上にみんなを乗せて押して一気に助け出そうか? また、さらに考えました。この屋敷には門が一つしかない。しかも、狭くて小さい。子供たちは、幼稚でまだ火のことを知らない。遊びに夢中になっている。このままでは、火に焼かれてしまう。私は、子供たちに危険な状態だと説得するほうがいいのだろうか。この屋敷は火事だ。早く出て来なければ危険だ。火から逃げて、安全な所に出ることが必要だと教えることが先決だ。そう考えて、すぐに長者は、考えた通りのことを子供たちに言いました。子供たちよ! 速やかに出て来なさい! 父は、子供たちを哀れだと思い、一生懸命に声を掛けて誘い出そうとしますが、子供たちは、まだ遊びに夢中で知らんふりです。驚かず、怖れず、逃げようという心になりません。また、火とはどういうものかを知らず、屋敷がどういうものかを知らず、命を失うことがどういうことかも知りません。ただ、あちこちを走りまわり戯れて、たまに父を見ますが、気にもせず無視しています。
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几を捨てる
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