仏教のお話

Rの会:譬諭品第三 / 19

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ダルマ太郎 2024/05/11 (土) 13:00:43

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正しく領解する
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経:仏昔、波羅奈(はらない)に於て初めて法輪を転じ、今、乃ちまた無上最大の法輪を転じたもう。
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太郎訳:世尊は、昔、ヴァーラーナシー(波羅奈)において、最初の教えを説かれ、今、無上最大の教えを説かれました。
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太郎論:波羅奈とは、釈尊が初めて説法を行った鹿野園のある場所です。初めての説法のことを初転法輪といいます。説法の相手は、かつて一緒に苦行をした五比丘です。五比丘は、苦行を止めて乳粥を食べた釈尊を裏切り者として軽蔑し、遠く鹿野園に去りました。覚りを得た釈尊は、最初の説法の相手として五比丘を選んで会いに行きましたが、五比丘は釈尊を見て、相手にしないように示し合わせました。しかし、近づいてきた釈尊の神々しさに尊敬の意を表し、釈尊の説法を聞きました。その時の説法の内容は、中道・四諦だったといいます。この初転法輪によって、仏教が始まったと言いますから、重大な説法だったことが分かります。今ここで、釈尊は、妙法蓮華の教えを説かれました。神々はこの説法を初転法輪と同じく重要な説法だと受け止め、「今、乃ちまた無上最大の法輪を転じたもう」と言って喜んだようです。

このように法華経では、法華経を無上最大最高の教えだと讃えるシーンがよく出てきます。このことから、法華経は釈尊の説かれた教えの中で第一だと言われます。しかし、最高なのは妙法です。鳩摩羅什は妙法と訳しましたが、それまでは通常、正法と訳されました。阿含経にも使われている言葉です。妙法は、サッダルマ Saddharma の訳なので、正しい法という意味です。よって、直訳すると正法なのですが、甚深微妙の法なので、鳩摩羅什は妙法と訳したようです。

般若経では、智慧について説かれています。法華経では、智慧の対象である妙法について説かれています。よって、般若経と法華経はセットです。智慧と妙法を知ってこそ、能詮と所詮の一致が得られます。つまり、説くことと説かれることが一つになりますから、般若経と法華経は合わせて学ぶ必要があります。

龍樹は、二万五千頌般若経の解釈として、大智度論を著しました。百巻もある大作です。しかし、法華経の解釈本は出していません。龍樹は、般若経を学ぶことを勧めていたようです。般若経は、声聞衆に対して説かれましたが、法華経は菩薩に説かれた教えなので、非常に難解だからです。よって、法華経は簡単な教えではありません。大智度論を訳した鳩摩羅什も、法華経よりも般若経を押していたようです。日本では、般若経を学ばずに法華経を学ぶ傾向が強いのですが、法華経を理解するためには、般若経をまず学ぶ必要があります。

般若経を知らなければ、妙法を理解できませんので、妙法がなぜ最高なのかが分からないと思います。法華経を最高だと主張したいのなら、般若波羅蜜について深く学んだほうがいいです。
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正しく領解する
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