仏教のお話

仏教随感 / 8

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ダルマ太郎 2024/05/04 (土) 12:08:15

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法華経という経典について
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太郎論:法華経は、紀元前一世紀ころから、インド北部のガンダーラあたりで編纂されたという説が有力です。2世紀ころには、ほぼ完成していたようです。主にクシャーン王国の人たちに向けて説かれました。特にカニシカ大王は、仏教を篤く信仰し、仏教を保護していましたので、仏教は広く伝わったようです。
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インドの法華経の経典は、サンスクリット語で書かれました。釈尊は、サンスクリット語は上位カーストしか理解できないので、平民でも分かるような言葉で布教するようにと指示していましたが、釈尊が亡くなって五百年も経てば、高弟子たちの意見を通し、サンスクリット語が採用されました。インドでは、宗教関係や公文書は、サンスクリット語を使うことが一般的だったため、仏教でもそうしたのでしょう。初期仏教の経典は、釈尊の教えを口伝していますので、由緒正しいとみられます。大乗仏教の経典は、紀元前後から作られたので、伝統がなく、大乗非仏説だといって、上座部の説一切有部などから非難されています。新しい経典を広く伝えるために、大乗のリーダーたちは、仲間に書写を勧め、書写によって布教しました。
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最初に作られた大乗仏教の経典は、般若波羅蜜多経です。八千頌般若経・二万五千頌般若経・金剛般若経などの大量の般若経典が世に出ました。般若経典は、空の理が説かれています。それに続いて、空の行を説く、法華経が作られました。法華経は、シルクロードを通って中央アジア、中国へと伝わりました。中国では、天才訳経僧の鳩摩羅什が、妙法蓮華経という名で漢訳しました。
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中国では、自国の文化を重視しますので、訳経が終わるとサンスクリットの経典は破棄されたようです。なので、中国には、サンスクリットの経典は残っていません。天台大師智顗は、サンスクリット経典を読まず、漢訳の妙法蓮華経を読んで学んでいたようです。日本の僧侶たちも漢訳法華経を学び、読誦していました。日蓮上人も漢訳を読んでいたようです。
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近年になって、サンスクリット本からの現代語訳が、いくつか出版されています。中でも、植木雅俊氏の本が人気があります。私は、植木氏の梵文『法華経』翻訳語彙典 二巻、法華経 梵漢和対照・現代語訳 二巻を持っています。特に翻訳語彙典は、法華経に出てくるサンスクリット語の単語の意味をすべて日本語に訳していますから、非常に役に立ちます。文章と単語の和訳がされています。二巻で十万円を超えますが、法華経を研究している人にとっては必需品です。
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鳩摩羅什の妙法蓮華経とサンスクリット原典には、色々と異なる点があります。日蓮系の人たちは、方便品第二の十如是を重視しますが、サンスクリット本にはありません。薬草諭品第五の後半は妙法蓮華経にはありません。小さな違いは、けっこう多いです。真に法華経を学びたいのであれば、サンスクリット本を勉強することをお薦めします。
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法華経という経典について
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