おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 92

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お酒作り 2016/10/12 (水) 23:58:30 29bdb@874ed

夕飯を終えて今度は晩酌タイム。
山雲と一緒に僕は食器を洗うが、2人の龍は飲む。飛龍が来るということで慌てて普段の倍以上のご飯を作ったが、それは正解だった。全部平らげて、更に飲んでしまうとは。
「それでどんな話を所望してるの?」
「んーとにかくみんながパァっと楽しめる劇だって! パパパのパーッて!」
「ふーん、出る役者さんは?」
「村雨さんの家族とかグラーフ・ツェペリンさんとか」
「大所帯ね、これだけの人にスポットライトを当てるのは骨が折れそう……」
「でしょー!! 本当に大変なんだからね!」
すっかり出来上がった飛龍にお酌をする雲龍だったが、聞き耳を立てると事情聴取をしていた。
誰が、どういう話を、どうしたいのか、とにかく事細に聞いているなと感じる。
……その情報を聞いてどうするんだろうか。

「zzz……」
案の定飛龍が潰れた。明日も学校がある山雲が寝室へ戻ってしばらくせずに。
お宅には電話したが、これが敏腕キャリアウーマンの姿だろうか。
二航戦が見る影もない。
「よく食べてよく飲むのは昔から変わらないけどなあ……」
僕はため息をつく。娘の情操教育にも良くないが、何より鎮守府で頼れるエースでもあった彼女の今の姿に不安半分呆れ半分だったからだろう。
しかし飛龍の頭を撫でながら妻は言う。
「編集の仕事、大学への職業紹介のパンフレット、それに劇の脚本家の斡旋…」
「私だったら人のためにこんなに動くことは出来ないわ」
眼差しはこの間の鬼教官ではなく、優しい慈しむようなもの。
「だから私はこうして本を書かせてもらってる訳だし」
そうか、雲龍も飛龍を信頼しているのか。
様々なところへ駆け回り、様々な方とふれあい、作者と共に作品を作り上げる。
立派な編集者として既に大成していたのだ。
(僕の知っているままの飛龍ではないんだな)
娘の成長のように嬉しくなってしまった。それは大きな喜びと手の届かなくなるような小さな悲しみの混ざった嬉しさ。
心の中にギュッとくる温かいもの。

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