おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 88

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お酒作り 2016/10/10 (月) 22:18:50 29bdb@2f719

「それで休みの日にわざわざ来たの?」
「いやー大学からこういう事を頼まれたのって初めてだからさー」

休みの日にわざわざ我が家へやって来たのは飛龍。話を聞く限りだと、大学のパンフレットに掲載する自分のお仕事の様子についての紹介文を書いたようだ。
雲龍も片手だけとは言っていたが、寄稿を大学から頼まれて何度も送っていたから推敲を頼みに来たのだとか。僕はちなみに書いたことないから少し羨ましかったりする。
「色々言いたいことはあるけど、まず個人名に付いては出しても問題ないの?」
「ウチの会社からしたら宣伝になるし、特に問題ないって言われたよ」
「陽炎家の執事さんとかはまるっきり個人じゃない…。 それよりミスを指摘させてもらうけれど、白露さんは雑貨店の店長よね。 村雨さんの旦那さんとどうして間違えてるの?」
「あっ!?」
「読んでいて呆れたわ。 人の名前も覚えられないって重篤」
「やっば、晩酌しながら書いてたから酔ってたしなあ」
「言い訳は要らないから、そこをすぐに直すこと」
「はい」

「お母さんが飛龍に怒ってるなあ」
「いつもとは逆ねー」
物陰から僕と山雲はそっと覗いてみる。
こんな鬼教官な雲龍を見るのは殆ど無い。マイペースだと思っていたから、新鮮というか、僕の知らない一面があるのかと何か少し悔しくなった。

「何であんなに怒っていたんだ?」
飛龍の推敲を終えて、山雲と点てたお茶を飲む雲龍に聞いてみた。
目をパチクリとさせて雲龍は僕を見る。
「怒ってた?」
「有無を言わせない気迫を感じたからさ」
「怒ってないわよ? これが普通」
声のトーンは変わらないし、顔も特に変わっていない。本心から答えているのだろう。
「ああでも……」
「でも?」
思い出したように妻は言葉を紡いだ。
「文章を書くって人に何かを伝えるってことだから、それで適当な情報を伝えるのは許せないわね、無責任みたいで」
ああ、飛龍のミスは雲龍からしたら適当なことを書いてると思っていたんだ。
なるほど納得、彼女の持つプライドから生まれた責任感が原因か。
鎮守府にいた頃から真面目な雲龍らしい、僕の知らない一面では無かったと分かると少し胸がスッと軽くなった。
……何を安心してんだ僕は。
彼女の全てを知っている事が僕にとっての自負なのだろうか。何かモヤモヤする!

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