おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 67

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名無しのおんこれ部員@Zawazawa 2016/09/05 (月) 19:47:19 8f50c@1c7c0

出会いはあまりにも唐突だったのかもしれない。
ある女性提督のもとに訪れたのは真っ白な空母。
「本日からお世話になる航空母艦、Graf Zeppelinだ。」
「グラーフと呼べばいいのかな?こちらこそよろしく頼むよ。しばらくは鎮守府がバタバタしているから部屋でゆっくりして環境に慣らすようにしよう。それから、演習だね。」
「ああ、了解した……。」

鎮守府のドタバタが一段落し、グラーフの演習が始まった。まずは海上を航行することから始めたのだが、うまくいかずに目が回る。普通の艦娘はすんなりといくのに、と周りが不思議がっていた。そのうち、見かねた吹雪が私と手をつなぎ、うまくバランスが取れるように支えてもらった。
すると、私は海面から足が離れた。
どうやら空中ではうまく移動することができるらしい。しばらくの間は空に浮いたまま戦っていた。

ある夜、提督のもとにグラーフが駆け寄った。
「悪い夢を見た……」
「たまにはそういうこともあると思うから気にしないでよ、夢は夢だから。ってグラーフも寝るんだ。」
「ああ、そうだな。普段はほとんど眠らなかったからな。」
「眠らずに平気なの?」
「……平気だ。寝たいときに寝るぐらいだ。私の中では眠ることは時間潰しの一つであり遊びの一つだ。」
「そういう人も世の中にはいるんだねぇ」
「そもそも私は人間ですらない」
「どういうことなの?」
「魔法使いと言う種族だ。」
提督はきょとんとした。まさか発艦形式や姿が魔術師のようだとは思ったが、まさか本当に魔法使いだとは。
「空を飛べるのも本当はそのおかげ……だが打ち明けられる人がいなかったのも事実だ。」
グラーフが空を飛べるのはすでに艦娘の間でも周知の事実であった。
「なるほどなぁ」
「だが……アトミラールには言わねばならないと思ったからな……。」
「そっか。魔法使いだろうが人間だろうが艦娘には変わらないからね。これからもよろしく、グラーフ。」
「ああ、こちらこそ頼む。」
とグラーフが私を強く抱く。痛いって。20万馬力で抱きかかえられたらたまったもんじゃない。バタバタしていることに気づいたグラーフが力を抜いて優しく包み込んでくれた。
「ところで、悪い夢の中身ってなんだったっけ?」
「すっかり忘れてしまった。」
なんだ嫌な記憶は吹っ飛んでしまったのか。今夜は逃さないぞ。まずは仕返しのほっぺむにむにからだ。

改造を施して、迷彩を纏うようになった彼女はさらに勇ましくなった。私は彼女を大規模通商破壊作戦の旗艦に任命した。
彼女は未完成の艦であったことにときどき負い目を感じているものの、戦場では堂々とした指揮と戦闘で確実に戦果を上げていった。特に少ない航空機を有効に活用した戦術を発明した数は枚挙に暇がなかった。

彼女の立ち回りはフレキシブルだ。艦隊戦で機動部隊の旗艦を務めることもあれば、速力を活かして単独で艦隊の援護をすることも、奇襲をかけることも多かった。ときには遠方で構え、索敵だけを任務として行うこともあった。
ただ、物量で攻めるより手数で攻めるのが得意な方であった。
作戦を遂行するにあたって彼女の魔法が便利だった。
気配を消して見つかりにくくする魔法。あらゆる妨害を受けないかつ、傍受されないテレパシー能力。状況を一瞬で把握する心眼。そして機動性を高める飛行能力。深海棲艦を直接打ち倒す力はないものの、私は彼女の魔法の強さと応用力には素晴らしいものがあると見た。

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