おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 50

231 コメント
views
0 フォロー
50
陽炎家の執事 2016/08/11 (木) 21:53:01 0a9e8@49d53

梅雨も明け夏本番を迎えた、少し前の話。

「のわっちのわっちー、今年の新しい水着、何にするー?」
「水着? 水着かぁ……そういえば去年買ったのも一度しか着なかったわね」
「去年の!? そんなんじゃ駄目だよ! 女の子は流行に敏感じゃないと!」
「舞風から流行なんて言葉が出るなんてね……お小遣い、残ってるの? この間前借りしてまで新しいダンスシューズ買ったばかりじゃない」
「うっ……それもそうだった」
扉の向こう側で飲み物のご用意をしていた私の耳に、蝉の鳴き声に混じり黄色い夏トークが聴こえる。
今日もまた宿題から脱線したのだろう、結露滴るアイスティーをトレイに乗せ、ふたりに気付かれないように部屋に入る。
いち早く野分様が視線に気づくも、小さく会釈をすると何事もなかったかのように舞風様に向き直る。ふたり揃って隙あらば喝の精神である。

「でもでも! 提督ならお願いすれば水着くらい―――」
「買いませんよ」
舞風様がハッと振り返る。案の定、宿題の消化率はよろしくはない。野分様はやれやれと言った表情で舞風様から水着雑誌を取り上げる。
「……と、いつもは言うでしょうが仕方ありませんね。夏ですから」
「やったぁ! じゃあ今すぐ行こ! 見に行こう!?」
「野分様も。奥様には私が後で申しておきます」
「あ、ありがとうございます」
そうなればお二人の準備は早い。いそいそと支度を始める舞風様と野分様。
当初は宿題を終えたご褒美にするつもりだったが、お出かけ気分のお二人に今更言うのもバツが悪い。
それならせめて健康に留意させるのが私の務めだろう。

「外はお暑いですから。水着は逃げませんし、先にアイスティーでも如何でしょう?」

カランコロンと涼しげな音色を上げる氷たち。外を見上げれば空に浮かぶは入道雲の立派な事。そろそろ麦わら帽子の準備もせねば。

通報 ...