「ただいま」
「お疲れ様」
小さなため息をついて助手席へと乗り込んでくる雲龍。
今日は母親の会だと聞いたから街へと送ってみたけれど普段と同じく読めない表情。
「村雨さんとお話はどんな感じだったの?」
「……少し圧倒されちゃった」
「圧倒?」
「ええ、子どもたちの育て方について──」
良かった。
これだけ饒舌なら悪い会では無かったようだ。
機嫌が良いと彼女は口がよく回る。ミラーに映る表情も心なしか柔らかく見えた。
雲龍の話をまとめてみると村雨さんと子育てのお悩み相談からアドバイス、お料理の献立や他のママ友についてのお話など会話は弾んだようだ。
特に献立は関心があったようでメモも取ったと。
ウチは基本的に和食ばかりで茶色いと朝雲にも言われたっけ。
……雲龍は多く食べられない。艦娘の時もそうだったが、燃費が良いのですぐお腹いっぱいになってしまう。
脂っこいものとか肉系もあまり得意ではない。
(サラトガが我が家に来た時は病気なのとすごく心配されたなあ、サラは対照的に超アメリカンでステーキやケーキをたくさん振る舞って子どもたち受けがすごく良かった)
それで暫く雲龍がショックを受けていたのは僕だけの秘密だが。
村雨さんはお料理が上手で驚かされたようだ。
「本屋さん寄って」
「今はネットでそういうサイトもあるみたいだけど?」
「紙の方が私は好き」
「じゃあ山雲と朝雲を迎えに行ってからね、一緒に本屋行こう」
「ええ」
何事もチャレンジは大切。
どんなものが出来るか分からないけれどできる事は協力したい。
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