おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 167

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名無しのおんこれ部員@Zawazawa 2016/12/11 (日) 22:27:42 8f50c@1c7c0

コマンダンテストともテーブルを共にしてからしばらく経ち、パーティーも終盤に差し掛かり、デザートのケーキを取ってきた春風は朝風に質問する。
「ところで、シュミット家と朝風ちゃんのところはどういう関わりなのでしょうか?」
村雨は妹を気にかけている。
「私にはよくわからないわ。お母さんに聞けばわかると思うけど」
「あら、ちょっと突っ込みすぎたかしら。ごめんなさい」
コマンダンテストが説明に加わる。
「イイノヨ。私達は十年と少し前にシュミット家の人に助けられたの。春風ちゃんも知っていると思うけど、当時は深海棲艦の脅威がすぐそばに迫っていました。私達は船でBrestからDunkerqueまで移動しているとき、深海棲艦に襲われました。艦娘たちが深海棲艦を撃退したのですが、私達のが乗った船を探し、助けてくださったのがシュミット家の人でした。名前は確か……スタニスラス・シュミット。ドイツからフランスに渡った貴族でスタニスラス本人は伯爵と聞いていますわ。」
「あの、ロマネ・コンティも彼から頂いたものなんですか?」
「実は違うのです。シュミット家は一家が離れ離れで今やロシアのサンクトペテルブルクに施設が少しあるだけのようです。どうやら、フランスの他にもロシアでも活動していたみたいです」
「そのワインはロシアからということですか?」
「そうです。あのワインはシュミット家の施設を管理している代理人の許可を頂いて貰ったものなのです」
「ということは、その家族はもしかして……」
「いえ、私は一族はいると信じています。特にスタニスラス・シュミットは生きていると信じています。私は、彼に恩返しをしなければなりません。私も、私の夫も彼に助けられたのですから……」
「そうでしたか……。なんか、申し訳ありませんでした」
「ふむふむ、そうでしたか!私たちもスタニスラスさんを探すお手伝いはできませんか?」
「お姉ちゃん……?私もささやかながら手伝えたらと思います」
「でも、Japonにいる可能性は低いわ。なにせ欧州で活動していたみたいだから。私は艦娘になって日本に派遣されて来たけど、今もヨーロッパで探したい気持ちは山々なの」
「でもね、お母さん。日本には神風ちゃんも春風ちゃんもいるの。大切な仲間がいるの。日本にいながら探したらいいと思うわ」
「そうね、朝風。私達は一人じゃない。もしかしたら彼は日本にいるのかもしれないわ」
「少しずつ手がかりを探すことならできそうですね」
「協力します!」
「村雨ちゃん、春風ちゃん、ありがとう。必ず恩人を探してみせます。せめて、スタニスラス・シュミットが残した一人息子の手がかりでも……!」

春風はハンカチをコマンダンテストに渡した。
「せっかくの朝風ちゃんのためのパーティですもの。残りの時間は短いですが、楽しみましょう」
「Merci」

こうしてパーティーは大盛況の中終幕を迎えた。迎えの車からグラーフ・ツェッペリンが現れ、娘二人を連れて帰るときであった。
「Bonsoir, Commandant Teste」
「貴方は?」
「グラーフ・ツェッペリンだ。村雨と春風の父親を、している」
「わざわざ、送るのですね」
「夜も遅いからな。こちらこそ、娘を招待していただき、感謝する」
コマンダンテストは『Graf Zeppelin』の名刺を受け取り、車が闇夜に消えるのを見つめていた。

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