おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 106

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お酒作り 2016/10/18 (火) 23:34:03 修正 29bdb@efd10

今から少し昔のお話。

「ねーあなたこれ何?」
葛城が我が家の裏から持ってきたのは赤い輪。
輪の中は人が一人入るより少し大きいくらい。
「フラフープじゃないか」
懐かしいものも残ってるものだと、僕はつい感心してしまった。
小学生の頃熱中して遊んだっけ。
懐かしさで少し目を光らせる僕とは対照的に怪訝そうにフラフープを見る葛城。
「葛城、見たことないのか?」
「フラフープってこの輪っかのこと? ええ、見たことないわ」
ツンツンと指でフラフープをなぞる葛城だが、そうか見たことすらなかったか。

『ジェネレーションギャップ』

……頭の中に嫌な言葉が浮かんだが無視しよう。
「フラフープで遊んでみるか?」
「え!? これって遊具だったの?」
「ただの遊具じゃないぞ、くびれを作ったり骨盤の矯正にも最適なんだ!」
「へー」
せっかくの機会だし教えてみるのも悪くないだろう、僕は葛城にフラフープの遊び方を教えることにした。
小さい頃に何度も遊んだ遊びだ。昔とった杵柄らしく簡単にできるはず。
「よし!」
昔のようにフラフープを腰の周りへと持ち上げ、僕は腰を回した。
「お、お、お!」
情けない声を出しながら必死にフラフープを回す男の声が庭に響く。
昔はサラッと出来たのに意外と難しい。バランスを取ろうと腰を上に動かしたり下に動かしたりと必死、ああダメだ……。
20秒も持たず落ちたフラフープ、本気だっただけになかなか辛い。
恥ずかしさと悔しさと色々な気持ちが混ざりあった気持ちが僕に押し迫る。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、葛城は凝視していた視線をフラフープへと運んでいた。
「へーこんな風に腰で輪っかを回すのがフラフープなのね」
「その通り、なるべく長い時間回せたら良い」
「そんな難しそうに見えないし、あなたよりも長く回してみせるから!」
息を荒くして説明する僕を軽んじるように勝ち気に笑うと、葛城も腰へフラフープを持ち上げた。
葛城にとって初めてのフラフープだ、うまく行くわけない!

「そーれ!」
フラフープを葛城は回す。
最初はバタついていたが、一度コツを掴んだら簡単に動かし、グルグルとフラフープは葛城の腰に纏うように回り続けた。
……完敗、悔しいです!
「ねえ、どうあなた?」
見事に回しながら勝ち誇った顔で僕を見つめる葛城、……ドヤ顔でこっちを見るんじゃない。
でも楽しそうに遊んでいるのなら、それで十分。
僕の知ってる遊びが少しでも多くの人が知ってくれれば共感しているようで嬉しいしね。

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