おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 104

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お酒作り 2016/10/16 (日) 20:31:36 修正 29bdb@fed2e

「……嫌よ」
「色々な作家さんに付いてたけど、ドラマやアニメの脚本を作るの時に行かなかった原作者なんて私の担当にはいなかったよ!」
どうやら妻は脚本を話し合う会に行きたくないらしい。脚本家だけでなく出演者もやってくるとか。
「どうして嫌なんだ?」
下に俯く雲龍に僕も思わず聞いてしまった。
自分の創った作品に対する思い入れは強いはずなのに、こういう場に出たくないのは気になったから。
少ししてオズオズと雲龍が呟くように口を開いた。
「……私、あまり知り合いがいないから」
「知り合いがいないからって子供じゃないんだから……」
飛龍が頭を抱える。
知り合いがいないって保護者会とかで村雨さんの旦那さんとかに会ったこととか……あーそうか。
「保護者会とか授業参観とか全部僕が行ってたな」
「はい?! 」
「今まで全部僕がやってたから会ったこと無いんだよ」
「……そういえばクリスマスの出版社のパーティーに出席したことも無かったわね。 それにインタビューも書面でしか答えていないし」
まさかの人見知り。
そういえば大学でも僕や飛龍といつも一緒に居たっけ。 他の友人についてのお話も聞いたことがない。
気まずい沈黙が広がる。

「あの姉様、少しよろしいですか?」
沈黙を破ったのは妹の天城。 おずおずと手を挙げてから話す。
「天城も最近色々な方からお話をすることがあります。 特に同業者の方とお話しすると、色々なアイデアを貰えるんです!」
「アイデア?」
「はい! あの人はこういうの作ってたから天城は違うものを作ろうとか、モチーフを頂いたり…」
はにかみ、笑顔を浮かべながら楽しそうに話す天城。
「天城には本の事は分かりませんが、きっと良いアイデアを頂けますから……。 頑張って行ってみるべきだと思います!」
「アイデア……」
天城なりの精一杯の説得だったのだろうか。僕と飛龍固唾を呑んで見守るしかなかったが……。
「……そうね、頑張るわ」
「姉様、頑張りましょう!」
結果は成功。さすがは妹だけあるのだろうか、姉をしっかり前向きにしてくれた。
「良かったあ、ちょっと電話してくるねー」
飛龍も懸案が晴れてホッとした様子を見せたと思ったら、携帯電話を出して電話を始めた。
「もしもし。 グラーフさんですか? なんとかなりそうです、予定の方は……」
こういう所に手を回すのが早いのが敏腕編集たる所以なんだろうか。
まさしく機を見るに敏。

朝から慌ただしいことになったけど、妻と村雨さんの旦那さんが合作した劇を見るのはとても楽しみだ。
娘と見に行かなくては!

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