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法改正のポイント:不正、派遣先にも責任

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派遣労働者を守るため、不正を犯した企業の責任をどう位置づけ、派遣事業をどう透明化するかも労働者派遣法改正の重要なポイントだ。これまでは、例えば偽装請負が告発で発覚しても、厚生労働省は正常な派遣または請負労働の形に戻すなどの指導しかしてこなかった。その結果、違法行為を告発した労働者の雇用は不安定なままで、派遣元は指導や勧告を受けても、派遣先の会社は何の責任も持たなかった。厚労省の案では、意図的な偽装請負や対象業種以外への違法派遣があった場合、従前以上の労働条件で派遣先に直接雇用を勧告するとしている。しかし、労働側は行政の勧告ではなく、違法行為があれば法的に雇用契約があったと見なす「みなし雇用」とするよう求めている。この場合、先述した告発者たちは、法的に派遣先に直接雇用されていたと見なされることになり、社員としての身分も保障される。経営側からは「違法の意図がどこまであったかなどケース・バイ・ケースで措置を考えるべきだ」と主張している。 ◇グループ派遣に上限 厚労省案では、グループ企業内で派遣する「グループ派遣」もグループ内派遣者数の割合の上限を8割にするとした。グループ派遣の実態調査では、グループ内への派遣が8割以上に上る派遣会社が全体の7割を占めており、見直しを迫られることになる。グループ派遣の放置は、本来正社員として直接雇用されるべき労働者の労働条件を低く抑えるために利用しているとの批判があった。日雇い派遣では、派遣会社が受け取るマージン(派遣料金から労働者賃金を引いた額)が多すぎるとの指摘もある。そこで、派遣会社のマージン率の公開を義務づける。厚労省は「マージンを取りすぎる派遣会社は労働者に選ばれにくくなるのではないか」と狙いを説明する。本来、マージンの中には事業費や教育訓練費用、福利費なども含まれる。だが、教育訓練をほとんど実施せず、会社の利益にしているケースもあるとして、上限規制を求める声も根強い。 規制強化が目立つ法改正の中で、緩和が検討されているものもある。常用型派遣への事前面接の解禁だ。派遣での事前面接は、派遣労働者がすでに派遣元に雇用されているのに、派遣先がその採用に関与すれば労働者の雇用を脅かすため禁止されてきた。しかし、厚労省は、雇用の安定した常用型なら、面接の結果採用されなくても影響は少なく、仕事の内容や社風とのミスマッチを防ぐ利点があるとして緩和を提案している。年齢、性別を理由とした差別的取り扱いの禁止を盛り込む予定だ。経済効率を優先する規制緩和の中で拡大し、社会に大きなひずみを残した派遣労働。厚労省の研究会報告が「経済の合理性だけでなく、社会的に許容される制度でなければならない」とした法改正はどのような形で決着するのか。日本の将来を左右する課題の一つだ。   (2008.9.29 毎日新聞)

オフィスタ
作成: 2019/03/16 (土) 14:16:26
最終更新: 2019/03/18 (月) 16:54:51
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