掲示板＠谷口浩久の今夜もしりきれとんぼ

「自殺したから〜」説は、非常に一般的に言われていますが、作品的にはあまり根拠のない解釈ですよね。
自殺について、もっとテーマとして書かれているならまだしも。

原作では、ジャベールは囚人とジプシーの子供みたいな設定はあるんですが、それはミュージカルには出てきません。
作品解釈をする時、まず、原作を捨てることです。
原作の解釈が、舞台版へのストレートな解釈を阻害していることが多々あります。

ミュージカル版では、ジャベールの出生は「牢獄で生まれた」としか語られていません。
そして彼は「おれもお前（バルジャン）も、牢獄で生まれたウジ虫なのだ」と言います。

つまり。

ジャベールとは、バルジャンの心の中で、彼が「牢獄にいる時」に生まれた観念なのです。
バルジャンが、名前を捨てさせられ、囚人番号で呼ばれる中、ジャン・バルジャンという名前は忘れ去られた＝本当の自分を忘れた（忘れかけた）。
代わりに彼の心の中に芽生えたのが「ジャベール」という観念なのです。

ジャベールは、牢獄で「バルジャンの心の中に」生まれた存在なのです。