内容は別として格納してはいかが?それか流れないように怪文書置き場に置いてくるとか...興味ない人には多分鬱陶しいと思われるだろうし、コメント欄だと忘れられるよ
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内容は別として格納してはいかが?それか流れないように怪文書置き場に置いてくるとか...興味ない人には多分鬱陶しいと思われるだろうし、コメント欄だと忘れられるよ
今日も彼女はお気に入りの中間砲を、その小さな砲塔に乗せて走り回っていた。
廃線にて。既に味方HTどもは崩壊。どうにかMT達と協力して、敵のHTとMTを狩れたは良いものの、その味方MTも敵ISU-152の正確な射撃でどんどん倒れて行く。彼女が最後の敵MTを狩ったその瞬間、最後の味方が倒れた。
彼女とISU、タイマンが始まってしまった。
既にスポットは切れているはず。ついに最後の1人となった彼女は、ひとまずキメ撃ちが来なさそうな所に身を隠した。彼女は震えていた。寒いのでは無く、消耗した自分が152mmHEでワンパンされるこのへの恐怖でだ。
ピリッとした強い恐怖が襲う。次の瞬間、妙にふんわりな暖かい感覚に包まれ、彼女は冷静になる。
残り時間は2:20、エンブよし、アドレナリンよし...丁寧に確認した後、エンジンをふかして中央の茂みに入る。
とりあえずこの茂みで5秒ほどスポットしてみる事にした。
「...! 見えた!!」
敵スタート地点付近の芋ポジでキメ撃ちを飛ばしてるようだ。
恐れることはない、そう自分に言い聞かせて、見つからぬように岩陰や茂み裏を通りながらヌルヌルと近づいて行く。
距離にして約210m、ついにバレた。
ピコーン!
ここまで見つからなかったと言うのだから流石に優秀な隠蔽である。
「見てなさい、このままNDKしてやるわよ」
彼女は緊張していた。少しでも気を抜けばエイムが狂ってしまいそうだ。
「ここッッ」 ドンッ
ISUの反応より一瞬早くAPを撃ち込んですかさず右カーブ。地面がガタガタ、と言うより震えで照準拡散が酷かったが運良く当たったようだ。
ISUがぐりっと旋回し、こちらを向く。
彼女は左に曲がり蛇行しようとした。だが何という事だろう、ISUはまた旋回してそっぽを向いてしまったのだ。
そのままISUは微動だにせず、彼女は不思議に思いながらスッと背面に回り込んで張り付いた。
「...ISU、あなた何でさっき撃たなかったのよ?」
ISUの背中はあたたかく、心地が良かった。
「あら理由なんて無いわよスピック。強いて言えば、あなたがチョロチョロとこっちに向かってくるのが可愛かったから、かしらね?」
「理由になってないわよ」
「理由なんて無いと言ったじゃない」
数十秒、沈黙が流れる。
スピックが背中に擦り寄ってくる。寒いのだろうか、そんなに可愛いから撃てないのだよ。
と、ISUは心の中で若干愚痴る、と言うかデレる。
「あなたこそ、もう装填は終わってるはず、さっさと次弾を撃てばいいじゃないのよ」 そうISUが煽る。
「嫌よ、今はこうしていたいの...」
「変なの。まぁ私もだけど」
彼女、いや、スピックは自分の行動が不思議でならなかった。相手に戦意があろうがなかろうが、早く仕留めてしまえばいいのに、と。
だがスピックは疲れていたのだろう。毎日殺伐とした戦場で中間砲を撃ち続け、殺して、殺して、殺されての生活を送っていたスピックにとっては、突如現れたISU-152という名の温もりは、やすやす手放したく無いものだった。
「あなたの背中、温かいもの..」
スピックがそう呟く。
ISUは後ろでスピックが何かぼそっと言った事にはきづけたが、それが何を言っているのかは聞こえなかった。
「おい何で2人とも砲身上げてんだよ」「fu ck」「wtf splc」 チャット欄が荒れている。だが彼女らにはどうでも良い話であり、それは視野の端っこで流れて行くだけの文字列だった。
2人はそのままなにも言わず、まるで永遠の様な甘い時間を過ごした。
...結局、結果は引き分けとなり、彼女らは各々のガレージに戻った。
その夜、スピックは激しい不安と、言い表し難い、興奮するような感情で寝つくことが出来なかった。
その感情とは平たく言ってしまうと”胸を焦がす”なのだが、スピックにははそれがどうしても分からなかった。
こういうの好きやわ 多すぎると目障りなのかもしれないけれど