カッコウ

Last-modified: 2019-05-16 (木) 08:16:45
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名称:カッコウ(郭公)、Common Cuckoo
学名:Cuculus canorus
保全状況評価: LC 低危険種 (IUCN, 01 October 2016)

 
鳥綱
カッコウ目
カッコウ科
カッコウ属
 

カッコウ科(ホトトギス科とも呼ばれるが、同義)で姿はホトトギスと似ているが、それよりもかなり大きくキジバト大[1]。
背は暗灰青色、腹は白地に黒色の黄斑、鳴き声はホトトギスと著しく異なり、「カッコウ」と鳴く[1]。

 
  • 生態

草原、耕地、牧草地と小さな林がある明るくひらけた環境に住み、ヨシキリ類やモズ類など他の鳥の巣に卵を産む(托卵)[5]。
日本では夏鳥で、全国的に見られるが、主に本州中部から北に生息している[5]。
ヨーロッパでは、カッコウの季節になると、少女はその最初にきいた鳴き声の数で、自分が何年たったら結婚するかを占う[5]。

 
  • 名称

学名のCuculusはその鳴き声からとったもの、canorusはラテン語で「音楽的」の意[5]。

 

日本では奈良時代から知られたようであるが、どのような名で呼ばれてきたかはっきりしない点がある[1]。
奈良時代に「かほとり」「よぶこどり」、平安時代に「はこどり」と呼ばれていた鳥の多くがカッコウではないか、というのが有力な説である[1]。
なお、「ホトトギス」の漢字表記は、奈良時代の万葉集では「霍去鳥」、平安時代以降は「郭公」が用いられている[1]。
共に字音は「カッコウ」であるため誤用と言えるが、恐らくはホトトギスとカッコウの姿が似ていて混同したものである[1]。
鎌倉時代になって、「郭公」を「クワッコウ」と呼ぶようになり、ホトトギスとは明確に区別されるようになった[1]。
安土桃山時代の日葡辞書では、「かっこう」「かんこどり」「かんぽどり」、江戸時代はそのほかに「かっこどり」「かっこうどり」「かっぽう」「かっぽどり」のほか、「おほむしくひ」とも呼ばれ、特に幼鳥が「むしくひ」と呼ばれるようになった[1]。

 

「カッコウ」の語源は明らかに鳴き声によるもので、英名cuckoo、仏名coucou、独名Kuckuck、蘭名koekoekも同様。

 
  • 音楽

古来より、主に合唱などでその鳴き声を模した音楽が多く作られている。
鳥の鳴き声を模倣し、音として模写し始めたのは14世紀後半からで[2]、カッコウのテーマが含まれる最初期の作品では、フランスの作曲家クレマン・ジャヌカン(1485頃 - 1558)の「鳥の歌」などが挙げられる【資料1】。
合唱以外でも、L.C.ダカン作曲の「カッコウ」【資料2】など、模倣作品は枚挙に遑がない。

 

また、日本の童謡にもカッコウがテーマとなった「静かな湖畔」「カッコウ」があるが、どちらも海外発祥の民謡である[3][4]。

 
  • 資料

【1】Le chant des oiseaux - Clément Janequin 4:30よりカッコウのテーマ
【2】Louis-Claude Daquin (1694 - 1772) Le Coucou

 
  • 出典

[1]菅原浩/柿澤亮三編著、図説鳥名の由来辞典、P102
[2]人と鳥の文化誌 - さえずる鳥と音楽 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/1707
[3]世界の民謡・童謡 - 静かな湖畔 http://www.worldfolksong.com/songbook/france/shizukanakohan.html
[4]世界の民謡・童謡 - カッコウ http://www.worldfolksong.com/songbook/germany/kuckuck.html
[5]日本の鳥百科 - カッコウ https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1403.html