オオフウチョウ

Last-modified: 2019-05-16 (木) 08:15:18
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名称:オオフウチョウ(大風鳥)、Greater Bird-of-paradise
学名:Paradisaea apoda
保全状況評価:LC 低危険種 (IUCN, 01 October 2016)

 
鳥綱
スズメ目
フウチョウ科
フウチョウ属
 

オオフウチョウはフウチョウ属最大の鳥であり、南西ニューギニアとアルー諸島(インドネシア)の低地や森に分布している。
オスの長さは最大43cmになる(長い羽を除く)。 メスはオスよりも小さく、35cmほど。
オスの姿は、顔が緑色、頭頂部が黄色であり、茶色の身体から飛び出るように生えている脇腹にある黄金色の飾り羽が特徴的。
16世紀初頭からヨーロッパに輸出されたオオフウチョウの剥製は、すべて翼、または脚を切り落とした状態であったため[3]、C.v.リンネ(スウェーデンの博物学者、生物学者、植物学者。「分類学の父」と称される)は、この鳥を「脚のない極楽鳥(legless bird-of-paradise)」と名付けた。[1]
学名のapodaは「脚が無い」の意で、C.v.リンネが極楽鳥の伝説を皮肉って命名した。[2]
現トリニダードトバゴの100ドル札や、旧50インドネシア・ルピア硬貨にデザインされている(年代不明)。

 
  • 生態

果物や節足動物を食物とし、日の出前に「ウォックウォック」と大きく鳴きながら食物を探し回る。
一夫多妻制でレック(多くの雄が集いディスプレイを競う集団求愛場。ディスプレイによって順位を競い、順位の高い雄が周囲の雌と交尾する)を形成する。
繁殖期は厳密には存在せず、一般的には3月から5月、そして8月から12月の間に繁殖期が発生するが、その他の月でも繁殖行動は見られる。[1]

 
  • 求愛行動

オスは子の育成に対して一切寄与せず、メスは以下のオスによる求愛行動から遺伝的利益に基づいて配偶者を選ぶ。

  • ダンス
    木の枝を前述のレックとし、一連の決まった動作を発声とともに繰り返すことで、メスへフィットネスをアピールする。[1]
    オスが斜めの枝に留まり、メスに背を向けて頭を下にする。すると、脇腹の黄色い飾り羽が背中にかかり、色彩が一気に花を開いたような効果を生む。[2]
    この、「花の姿勢(flower position)」がダンスの最終アピールとなる。[1]
  • コール
    上記ダンスには、計8種のコール(鳴き声)を伴う。
    ダンスには3セクションの動作があり、各セクションによってコールを使い分ける。[1]
 
  • 日本との関わり

江戸時代前期から剥製または生鳥が渡来していたようで、「本朝食鑑(1697年、日本の食物全般についての説明本)」に以下の記述があり、ほぼオオフウチョウ形状を示している。[3]
「風鳥 蛮人此を貢す 状(かたち)烏鳳に類して 頭は黄に 頬 頷は黒く 背 翅および腹は紫黒 脚は鼠の趾の如し 尾 上は紫 下は黄なり 総披して 荒穂の風に乱るるが如し」【資料1】

 

「風鳥」の名の由来は、前述の命名の由来と同じく「脚が無いため、一生風に運ばれる鳥」であるため。同じ理由で「無対鳥」とも呼ばれた。[3]
なお、アマツバメも「風鳥」と呼ばれていたが、こちらは飛翔が風のように早いことから名付けられた。「風切」とも。[3]

 
  • 資料

【1】http://base1.nijl.ac.jp/iview/Frame.jsp?DB_ID=G0003917KTM&C_CODE=0099-058701&IMG_SIZE=&PROC_TYPE=null&SHOMEI=%E3%80%90%E6%9C%AC%E6%9C%9D%E9%A3%9F%E9%91%91%E3%80%91&REQUEST_MARK=null&OWNER=null&BID=null&IMG_NO=296 附録5行目参照

 
  • 出典

[1]https://en.m.wikipedia.org/wiki/Greater_bird-of-paradiseより翻訳、抜粋
[2]ティム・レイマン、エドウィン・スコールズ著、極楽鳥全種:世界でいちばん美しい鳥、2013年
[3]菅原浩/柿澤亮三編著、図説鳥名の由来辞典、2005年