ウグイス

Last-modified: 2019-05-16 (木) 08:15:05
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名称:ウグイス(鶯)、Japanese Bush Warbler
学名:Horornis diphone
保全状況評価:LC 低危険種 (IUCN, 01 October 2016)

 
鳥綱
スズメ目
ウグイス科
ウグイス属
 

ウグイスは、ウグイス上科ウグイス科のスズメ大の鳥(1910年まではヒタキ上科として数えられていた)。
羽色は淡緑褐色(ウグイス色)で、その独特の繁殖のための歌声は、春の初めから日本中の至る所で聞くことができる。オオルリ、コマドリと並ぶ日本三鳴鳥が一羽。

 
  • 生態

初冬から早春までを平地で過ごし、冬季には主に笹薮で生活する。その際、チャッチャッと聞こえる地鳴きをするが、これを「笹鳴き」という。[1]
早春になると林の繁みに移り、盛んに囀るようになる。4月から8月の繁殖期には山地の森林や笹薮に営巣し卵を産む。

 

なお、「梅と鶯」と言えば奈良時代から近年まで歌に詠まれたり絵に描かれたりしているが、ウグイスが特に梅に留まる習性があるわけではない。
ウグイスが早春に活躍する時期と梅の開花の時期が一致し、梅の樹にウグイスが留まることもあり、それが強い印象を与えたのだろう。[1]

 
  • 名称

「うぐいす(うぐひす)」は昔からこの名で呼ばれてきたが、奈良時代では一部で「ほほきどり(法吉鳥)」とも呼ばれていた(「出雲国風土記」)。[1]
旧出雲国である島根県嶋根郡の法吉の郷には次のような地名起源伝承がある。
「神魂命(カムムスビノミコト)の御子であるウムカヒメの命が法吉鳥となって飛び渡り、ここに鎮まりましき。故にこの地を法吉(ほほき)という。」
この「法吉」は鶯の鳴き声を文字に捉えた珍しい例で、ホーキあるいはホキと聞き写したと思われる。[2]

 

また、文芸上の異名が大変多いことでも知られている。以下にその内のいくつかを挙げる。

  • ももちどり(百千鳥)
     古今伝授の3種の鳥の一鳥。
     呼子鳥(よぶこどり、カッコウかホトトギスと言われる)、稲負鳥(いなおおせどり、元の鳥については諸説あり)と並ぶ。
  • とどめどり(禁鳥)
     平安時代の故事「鶯宿梅」より。
     村上天皇がとある家屋の梅を御所に運び出したところ、「勅なれば いともかしこし うぐいすの 宿はと問はば いかが答へむ」(勅命ゆえ、謹んで差し上げます。しかし、いつもの鶯が「私の宿は」と尋ねたら、どう答えたものでしょうか)という詠が枝に括り付けられていたことから。
  • みみめとり(耳目鳥)
     平安時代後期の仏教説話集「古今打聞」より。
     「みみめ鳥 きつつなくなり わがやとの 八重紅梅の花 ふみちらし〈公忠〉/ みみめとりとはうくひすを云也」。
 
  • 出典

[1]菅原浩/柿澤亮三編著、図説鳥名の由来辞典
[2]近藤正義著、音感万葉集