イヌワシ

Last-modified: 2019-05-16 (木) 08:16:21
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名称:イヌワシ(狗鷲、犬鷲)、Golden Eagle
学名:Aquila chrysaetos
保全状況評価:LC 低危険種 (IUCN, 01 October 2016

 
鳥綱
タカ目
タカ科
イヌワシ属
 

タカ科(旧ワシタカ科)の鳥。ここでは特に記載のないものは、イヌワシの亜種5種のうちのニホンイヌワシ(Aquila chrysaetos japonica, Japanese Golden Eagle)について述べている。

 
  • 生態

体長約81cmの鳥であり、頭から頸にかけての羽毛が長く黄赤色、背は紫色の光沢のある濃褐色、脚は脛まで羽毛に覆われている。[1]
ノウサギ、ヤマドリ、ヘビ、キツネ、テンなどを食べ、2月頃産卵、5~6月頃に巣立つ。[2]
岩棚に木の枝を積み重ねて営巣するが、何十年も繰り返し使われてきたものになると、巣の直径や高さが数mになるものも見られる。また、地域によっては岩棚でなく樹上に巣を構えるペアもいる。[2]
抱卵期間は平均で42日前後で、主に雌が抱卵を行う。卵は数日間隔で2つ産むが、主に餌不足が原因と考えられる兄弟闘争によって、2羽目が生育して巣立つのは希である。[2]
イヌワシはペアごとにテリトリー(なわばり)を持ち、1年を通してその中で生活する。ペアのテリトリーの広さは平均で約60平方キロメートルになる。[2]
成鳥になるまでには5年以上掛かり、それまでに半数以上が落鳥すると言われている。[2]

 

生息地


高山の岩石の多いところに住む。[1]
イヌワシは1950年代までは日本アルプスなど極く限られた場所にだけ生息するものと考えられていたが、近年の当研究会などの調査により日本各地に生息していることがわかった。[2]
現在、日本におけるイヌワシの推定生息数は、 150~200ペア(推定未登録ペアを含む)と単独個体を合わせた約500羽と言われており、多くの生息地は近年の大規模な開発、森林伐採、単一樹種による大規模な植林などにより大きく変化してきている。 そのためイヌワシの食物となる動物であるノウサギやヤマドリの減少を招き、さらには密猟や環境汚染物質の影響などによって、イヌワシは絶滅の危機に追いつめられている。【資料1】[2]

 
  • 名称

日本では安土桃山時代からこの名前で呼ばれ、日葡辞書に「いぬわし」と記されている。江戸時代になって「くまわし」「くろわし」とも呼ばれた。[1]
「いぬわし」の語源は、「おほわし(おおわし)」が尊重されていたので、これよりやや劣ったものとして命名されたのかもしれない。[1]

 
  • 資料

【1】環境省 希少猛禽類調査(イヌワシ・クマタカ)の結果について http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=5218

 
  • 出典

[1]菅原浩/柿澤亮三編著、図説鳥名の由来辞典
[2]日本イヌワシ研究会 オフィシャルサイト https://srge.info/