・トカゲが睡眠中に2つの睡眠状態(レム睡眠とノンレム睡眠)を繰り返し、夢を見る可能性が明らかになった
・「睡眠表現型の多様性」により、同じトカゲでも種類によってレム睡眠とノンレム睡眠のパターンは異なる
・哺乳類、鳥類、爬虫類が夢を見るのであれば、これらの共通の祖先である恐竜や原始の鳥も同様に夢を見ていた可能性がある
トカゲに親近感が湧いてくるかも?
フランス国立科学研究センターなどの研究チームによって、なんとトカゲも私たちと同じように夢を見る可能性が明らかになりました。研究結果は、10月11日付で雑誌PLOS Biologyに掲載されています。
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2005982
研究チームは、2016年に発表された「フトアゴヒゲトカゲはレム睡眠とノンレム睡眠に相似した睡眠状態を持つ」という説を実証。そこから発展させ、今度は「アルゼンチンブラックアンドホワイトテグー」の睡眠習慣の調査を行いました。
まず、フトアゴヒゲトカゲの脳波と眼球運動を記録し、レム睡眠(眼球が急速にピクピク動き、夢を見ている状態)とノンレム睡眠(眼球運動が見られない深い眠り)という2つの睡眠状態のパターンを再現しました。さらに、アルゼンチンブラックアンドホワイトテグーに、哺乳類のレム睡眠を抑制することで知られる抗鬱剤の一種フルオキセチンを与えたところ、アルゼンチンブラックアンドホワイトテグーにもフトアゴヒゲトカゲと同様に2つの睡眠状態があることが明らかになったのです。
ただし、これら2種のトカゲの睡眠状態のパターンには違いがありました。このことは、種によってパターンが異なる「睡眠表現型の多様性」があることを示しています。
レム睡眠の特徴は、起きている時と同じような脳と眼球の活動が見られることです。フトアゴヒゲトカゲではレム睡眠時と覚醒時の脳や眼球の活動が類似していることが確認できましたが、アルゼンチンブラックアンドホワイトテグーにはこれが当てはまりまりませんでした。
眠っている時どんな夢を見ているかをトカゲたちにぜひ尋ねてみたいところですが、残念ながらそれは不可能です。それに、トカゲの生態や神経は私たちヒトとはまったく異なるので、彼らを私たちと並べて考えることはできません。
しかし、トカゲも私たちと同じように睡眠を必要とします。睡眠を長時間与えられないと、ヒトもトカゲも死んでしまうことは同じなのです。私たちの体と脳は、日中に得た知識の整理、廃物を脳からの排出、ホルモンの生産、体温調節、エネルギー補給など、生命維持に必要な数多くの活動を睡眠中に行います。進化の過程で別の種に変化しても、生き物は祖先の生態様式を引き継ぐため、すべての動物は生態様式を共有していると言えます。
睡眠中の脳内で何が起きているかが、すべての哺乳類、鳥類、爬虫類で調査されているわけではありません。中には、夢を見ているかどうかがわからないという人や、自分は夢を見ないと断言する人もいて、科学者たちは彼らが嘘をついているのか、そう思い込んでいるのか、はたまた真実を言っているのか、結論をつけかねています。
とはいえ、トカゲがレム睡眠・ノンレム睡眠を行うこと、そして夢を見ていることは、かなり信憑性が高そうです。そして、哺乳類や鳥類だけでなく、爬虫類も夢を見るのであれば、3.5億年前以上前に存在したこれらの共通の祖先である恐竜や原始の鳥も同じように夢を見ていたのではないかと推測できます。
トカゲが見る夢については、さまざまな解釈が可能です。美味しそうな獲物を捕まえる夢を見ているのかもしれませんし、ひょっとすると憧れのゴジラになって高層ビルをかっこよく破壊する夢を見ているのかも!?直接、トカゲに聞いてみたいところです。
via: haaretz / translated & text by まりえってぃ
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