続・野球との関わり(中学生・その2)
空前の大ちゃんフィーバー。
決勝ではあの愛甲と投げ合い、敗れはしたものの1年生にして甲子園の準優勝投手。
小6だった僕の目には、あまりに眩しい存在として映った。
夏の終わり、僕は塾長に言った。
僕「先生、俺、早稲田実業を受験したい」
塾長「そうか。目標を持つことはいいことだ。しかし今のお前では無理だ」
僕「落ちてもいい。受けるだけでも」
塾長「受けるからには合格しろよ。本当にその気なら特訓してやるけど、やるか?」
僕「うん、やる」
二学期から僕は、週3回の特訓(マンツーマンの個人授業)を受けた。
夕方から夜10時までの約6時間、徹底的にしごかれた。
子供のモチベーションってすごい。
「俺は早実の野球部に入るんだ」「もちろん高校3年の最後まで続けるぞ」
「俺ごときではレギュラーは無理だろう」「ベンチ入りさえ叶わないかも」
「それでもいい。俺は大ちゃん、いや、荒木先輩と同じユニホームを着る」
「そして甲子園のアルプススタンドから、精一杯の声を張り上げて応援するんだ」
ド下町のボンクラ小学生だった僕だが特訓の成果もあって、二学期が終わる頃には偏差値が30くらい跳ね上がり、
塾長からは「まぁ早実なら受かるよ。ミスしなきゃね」と言われるようになっていた。
ところが一方で親はというと、僕とはまったく違う進路を思い描いていた模様。
どこからか聞いたこともない妙な学校(?)を2つ見つけてきて、「この両方を受けて、合格したほうに行け」と言った。
どちらも遠く遠く離れた他県の学校で、もちろん実家からは通えないため、寮に入れというのだ。
親が言うにはこういう事だった。
「お前はバカなんだから、都内の進学校なんかに行く必要はない。それより田舎で伸び伸びと過ごすほうが向いてる」
僕は親が言うだけあってバカだったので、寮生活の厳しさなど知る由もなく、
「寮生活か~。それも悪くないな。なんか青春っぽくて」と思った。
同時に「野球はどこででも出来るし、それでもいいかな。無名校ならレギュラーを狙える利点もあるし」とも思った。
そんなこんなで僕は早実と、その「寮完備の妙な2校」の計3校を受験して、無事にいずれも合格した。
僕自身は早実にかなりの未練があったのを覚えてる。
しかし親からの「お前は都心のゴミゴミした所より、田舎で寮生活でもしてるほうが向いてる」という説得に遭った。
そして結局は僕が折れる格好に。
3校の中でダントツの田舎。
学校の周りには見事に「な~んにも無い」はじめ人間ギャートルズばりの環境下にある寮に入ることとなった。
(親の思惑としては、俺を更正施設にでも入れたつもりだったのだろうかw)
さて、いよいよ入寮当日、「俺もいよいよ中学生か」と心を弾ませ、
もちろんバットとグローブを持参し、意気揚々と寮に乗り込んでいった。
・・が、その晩、僕は4人部屋で同室となった先輩から、驚愕の事実を知らされるのであった。
(つづく。次回、涙なくしては語れない中学生編の最終回)