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がん共生時代 ・ 働く:欠かせぬ通院 求職の壁

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がんになると就労の継続はもちろん、新たに職を求めることも難しくなる。千葉県に住む成田美樹子さん(50)は7年前に大腸がんの手術を受け、ストーマ(人工肛門)を付けた。夫とは手術後に離婚。抗がん剤や検査などに毎月約5万円の医療費がかかった。貯金もわずかになった1年後、就職活動を始めた。発症まで続けた酪農の手伝いは重労働で、術後の体にはきつい。ストーマを付けて身体障害者手帳が交付されたため、ハローワークで障害者雇用枠の求人を探した。しかし、住んでいる地方にこの枠の求人は少なかった。一般枠では「月2回通院が必要だ」と伝えただけで面接にもこぎ着けられない。地元の大手ホームセンター店は、病名を聞いたとたん、「そういう人は雇ったことがないから……」と拒否反応を示した。がんの場合、手術で後遺症を抱えていても、ストーマを付けるなどしない限り、ほとんどが障害者手帳の交付対象外。多くは健康な人と同じ土俵で求職活動をしなければならないが、がんに対する理解が浅いこともあり、がん患者の採用に消極的な企業は少なくない。手帳が交付されていても苦戦した成田さんがたどり着いたのが、障害者やがん患者の就職を仲介する会社「テスコ・プレミアムサーチ」(東京都)だった。同社社長の石井京子さん(56)も実は大腸がん経験者だ。大手通信会社の管理職として働いていたが、手術後、やりがいを求めて障害者雇用枠専門の人材紹介会社に転職した。職探しに苦労する仲間の姿を見て3年前、今の会社を設立。がんや難病、発達障害など障害者手帳を持てない患者の就労相談も受けつける。石井さんは、「がん患者の職探しで大事なのは患者が自身の能力を評価し直すことだ」と明言する。「経験なしでOKなら、若くて健康な人を採るのは当たり前。がん経験者だからこそ、専門資格やパソコンの技術、経理、総務の経験など企業にアピールできる能力があるかシビアに点検しなければ」成田さんの履歴書には当初、事務職の経験がほとんど書かれていなかった。数年前に公益法人で会計を担当し、エクセルを使いこなしていたことを聞き出し、それを強調したものに履歴書を書き直した。体調への配慮も了解してもらい、大手証券会社の障害者雇用枠で採用された。不利になるのを恐れて採用の際、がん経験を伝えるかどうか迷う人も多い。社会保険労務士の近藤明美さんは、「必ずしも病名を伝える必要はない。しかし、通院で休むことなどが必要な場合、配慮してほしいことを事前に伝えた方がよい」と勧める。  (2011.2.17 読売新聞)

オフィスタ
作成: 2019/03/19 (火) 11:44:35
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