やってしまった。二型が新たにフレンズを生み出さないという推測は間違いだったらしい。現に今、私の体はフレンズの物になっている。それも人のフレンズではない。頭から長い触角が垂れ下がっている。私の記憶が間違っていなければ、私が自分に投与した二型の提供者はヤマトゴキブリだった筈だ。そうなると二型の元の持ち主の特徴が私の体に現れたことになる。これは憶測なのだが、二型には細かく分解されたフレンズになる前の肉体そのものと、そこに残されていた遺伝子情報が含まれていると思われる。そしてその遺伝子情報を元にしてフレンズとしての体が形成されるのではないか。そう考えればセクトプラズムにフレンズ化前の個体由来の物質が含まれているのも、フレンズ化が解けた時に何も残らないのも説明がつく。一型と二型の大きな違いが遺伝子情報の有無だとするならば、一型に虫の遺伝子情報をどうにか組み込む事が出来れば、人工的な二型の生成も可能なのではないか。私はこれを試してみることにした。
とりあえず、サンドスターに虫の遺伝子情報を組み込むことには成功した。結果、サンドスターは変異したのだが、これを二型と言っていいものか…。天然の二型に比べれば純度が低い。それに色も、二型は黒なのだがこれは紅だ。まあ色の違いなどさほど問題では無いが…。さて問題は毒性の有無だ。調べてみたところ、毒性はあった。しかし一型と二型が反応して発生する毒に比べればだいぶ抑えられている。この程度の毒なら、フレンズの身体に元より備わっている免疫力だけで解毒出来るはずだ。そしてこれが二型と反応して新たに毒を持つことがあれば本末転倒だ。幸い、二型には何の反応も示さなかった。これなら使えるかもしれない。特定の状況下でのみ毒を持つ、と言ったことも考えられるが、そんな事を調べている時間はない。一刻も早く彼女達を救うべく私は二型をひとまず完成とし、早速この二型を試用してみることにした。幸い、今の私は虫のフレンズだ。彼女達を危険に晒すことなく試作品を試す事が出来る。危険は重々承知だが、自体は一刻を争う。不確定要素を残すなんて研究者失格だが、この際まあいいだろう。試作品の試用について研究チームのメンバーに話した。当然反対する者もいたが、最終的には私の判断に任せるとの事だ。私の研究資料はもうぜんぶまとめてあるし、後任のリーダーも決めた。私は満を持して試作品を使用することにした。
追記
これで最後になるかもしれないから言っておく。皆、今まで色々ありがとう。親愛なる我が研究チームに最大限の感謝を込めて。そしてたかし君、冷蔵庫にあった君のプレミアムプリンを食べたのは私だ、すまない。どうか、この数行がただの黒歴史になればと思う。
ゴキブリのフレンズになっちゃった?!
「フライ」的なやや闇のある研究結果報告ですね
こういう研究レポ見るとどきどきします
どうなっちゃうんスか…?
ふーむ 人間が別の生き物のフレンズになってしまうとは…
危険なニオイがするぜ