第一章「ファースト・コンタクト」
カレントは一人病院のロビーで公衆電話を探していた。
まだパーク内には一般人はいない筈だが、病院にはそこそこ人がいる。
さっきヘリで飛んでいて気付いたが、どうやらこの辺りはまだ開拓中らしく、病院内には建築関係の人間も多かった。
ロビーの端に公衆電話を見つけ、管理センターに電話をかける。
センター職員「はい、こちら管理センターです。」
カレント「もしもし、JPPアドバイザーのジャック・カレントだが...」
職員「カレント様!存じ上げております。今そちらに迎えを向かわせておりますので、もうしばらくお待ちください。」
どうやらもう向こうに連絡が入っているらしい。
カレント「そうか..手数をかけさせてしまって申し訳ない。」
カレントは電話を切り、喫煙室に入った。
ライターを取りだし、タバコに火をつける。まったく。生きにくい世の中になった物だ。
中では男二人がデカイ声で話していた。
男1「それでよー、俺はこんな骨折をするはめになっちまった訳さ。」
男2「そりゃ傑作だな!」
男1「笑いごとじゃねぇよ!お陰で飯が食いにくいったらありゃしねぇ」
男2「そりゃ傑作だな!」
男1「笑いごとじゃねぇ!」
耳が痛くなってきたカレントが喫煙所を出ようとした時だった。
男2「そういや今日の寮の夕食はビーフシチューだとよ!」
男1「おお!そりゃいいね!久しぶりのご馳走だぜ!」
その会話を聞いて一瞬動きを止めたが、そのまま喫煙所を出る。
カレント「ビーフね....」
いつもなら気にもとめない会話だが、この場所で聞くと少し刺さるものがある。
入り口すぐのソファーに座り、カレントは考え込む。
カレント「なんか矛盾してないか?"この場所"は...?」
そんな時だった。
???「あなたがカレントさんですか?」
声をかけられ上を向くと、薄い緑髪の女性が立っていた。
カレント「そうだが?あんたが迎えか?」
するとその女性は質問など聞こえなかったかの様に、
???「一つ質問させて頂いてもよろしいですか?」
カレント「・・・・・・なんだ?」
あなたは、けものがお好きですか?