本文7
カーステレオで音楽をかけ、夜の街を走る。
一般人のいない夜の街中は交通量も少なく、静かだ。
カレント「本当にこっちで合ってるんだろうな...?」
カレントは地図が示す方向へ向かっているが、どんどん街から外れている。
だんだん建物を建設中のものが増えはじめ、自動車一台通っていない。もう少し進めば草原に出てしまうだろう。
カレント「くそ..腹が減ってきた...」
それもそのはずで、カレントは連絡船で昼食を摂って以来何も口にしていない。
気付けば街を抜け、草原に入っていた。
カレント「どうする...今さら街中に戻るのも面倒くさいな...」
辺りにコンビニでも無いかと見回すが、あるのは外灯と”セルリアン注意”の看板だけだ。
カレント「なんでこんな街外れに本部を建てるんだ!おかしいだろ!」
なかなか着かない苛立ちと空腹でカレントがぶつぶつ文句を言い出した時だった。
カレント「ん..?なんだ?」
だだっ広い草原の中にポツンと一軒だけ建物が見えた。
カレント「お!何かあるぞ!」
カレントは微かな期待と共に車を加速させ、その建物が何なのか確認する。
カレント「ビンゴ!」
カレントの期待通りそこは一軒のバーだった。看板には「Bar Chronus」と書いてある。
木材を多用し、間に合わせで作ったかの様な雑乱とした出で立ちは西部開拓期を彷彿とさせる。
だだっ広い草原の中にポツンと一軒だけ。かなり異常だが空腹のカレントにはどうでも良かった。
そそくさと駐車し、中に入る。
マスター「....いらっしゃい」
無愛想なマスターが表情一つ変えずに迎えてくれる。
内装もまさに西部劇の一コマをそのまま切り取ったような印象だ。
中では数人の客が特に騒ぐわけでもなく、静かに飲んでいた。
客の中にはヒトだけではなくアニマルガールもいる。彼女達ににも、一杯やりたくなる時があるのだろうか。
適当にカウンター席に座り、食べ物を頼んだ。
ポケットからタバコを取りだし、一服する。
カレント「ふう...ん?」
カレントの元に、横から氷の入ったグラスが流れてきた。横を向くと男が独りで飲んでいた。
???「それわ私の奢りです。」
若干訛りのある日本語を話す彼は、イタリア人らしかった。
カレント「あぁ..悪いな。」
グラスを手に取り、一口飲む。カレントはその甘く香ばしい香りで、すぐに分かった。
カレント「....バーボンのロックか」
するとそのイタリア人は微笑み。
???「ご名答。」
カレントもニヤリと微笑み返す。
カレント「飲みなれた酒だ。あんた...名前は?」
???「わたしわアバーテ・フィリッポ。パークで研究員をやっています。」
カレント「俺はジャック・カレント。新しい部署、JPPのなんちゃって隊長だ。」
YES!B・G・M!!