本日は1997年にIBMのコンピューター「ディープ・ブルー」が、
チェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏に勝利した日であります。
・「ディープ・ブルー」(Deep Blue)は、アメリカのIBMによって開発された
チェス専用のスーパーコンピュータであります。
大学の研究室で生まれたチェス専用スーパーコンピュータ
「ディープ・ソート」の研究を引き継ぐ形でIBMが1989年より開発を開始し、
「ディープ・ソート」に勝利されたチェス世界チャンピオンの
ガルリ・カスパロフ氏に勝利する事が目標とされていました。
「ディープ・ブルー」は1秒間に2億手の先読みを行って、
対戦相手となる人間の思考を予測して一手を打つ事が可能となっております。
予測の方法は、対戦相手(この場合はカスパロフ氏)の過去の棋譜を元にした
評価関数を用いて、効果的と考えられる全ての手筋を洗い出すものであります。
カスパロフ氏との対戦は過去に2回行われ、1996年2月に行われた1回目は
カスパロフ氏が6戦中3勝1敗2引き分けで勝利。1997年5月に行われた2回目は
「ディープ・ブルー」が6戦中2勝1敗3引き分けで勝利を収めました。
「ディープ・ブルー」は後に解体されておりますが、
その一部はコンピュータ歴史博物館等に展示されております。
なお、表向きの目的はチェスで人間の世界王者に勝利する事ありますが、
もう一つの目的は、より知能的な問題処理能力/高速な計算能力/
莫大な量のデータマイニングといった多くの分野に貢献する事でありました。
実際にIBMはこの研究を通して得た技術を自社製品等に適用しております。
・ガルリ・キーモヴィチ・カスパロフ氏は、アゼルバイジャンのバクー出身の
元チェス選手であります。ユダヤ人の父親とアルメニア人の母親との間に
お生まれになり、10歳の時にミハイル・ボトヴィニク氏が主宰される
チェス学校にてチェスプレーヤーとしての英才教育を受けられました。
なお、ボトヴィニク氏は工学者としても活動されており、プロの世界を
離れられた後は後進の指導やコンピュータチェスに専念されました。
カスパロフ氏はジュニアの大会にてチャンピオンとなられた後、
1984年に初めてチェス世界選手権に出場され、当時世界チャンピオンの
タイトルを10年間保持されていたアナトリー・カルポフ氏に挑戦されました。
丁々発止の勝負は決着が着かないまま一度中止となる異例の展開となり、
翌年に行われた再戦にてカスパロフ氏は当時の史上最年少となる
世界チャンピオンとなられ、その後15年間タイトルを保持されました。
その後、「ディープ・ブルー」との対戦などプロとして活躍された後、
2005年3月にチェストーナメントから引退され、
現在はロシアにて民主化運動等の政治活動をされております。
けものフレンズにおいてAIで思い浮かぶものといえば、
ラッキービースト様かもしれません。複数の作品にて登場されており、
それぞれにおいて様々な違いが存在しますが、
様々な機能を有しているパークガイドロボットという点は共通しております。
自律行動によるパークの案内は高度な技術が必要であり、
それには発達したAI技術が欠かせないのは間違いありません。
今やAIは産業の基幹技術の一つであり、その需要はますます高まります。
しかし、AIを手掛けるのはあくまでも人間であり、
AIの成熟は人間の成熟があってこそという事を忘れてはならないのであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。