柿崎だったり
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2018/05/22 (火) 23:24:47
ふと、部屋にスーツ姿の人がいることに気がつき、声をかける。
「ここのお方ですか?」
その人はええ、とうなずくと、ここで手伝いをしていると話してくれた。
「お墓には一体なにが納められているんです?」
少し迷いながらわたしはきいた。
「そうだね、だいたいは亡くなったポケモンを火葬して遺骨を納めるか、からだをそのままひつぎに納めて地面の下に埋めるね。そうそう、だからここは床が土なんだよ」
なるほど、とうなずきながらお墓に目をやる。ふと、一つのお墓にモンスターボールがお供えされていることに気がついた。生前入っていたボールだろうか。
「ああ、そうそう。そのこの思い入れのあるものを納めるってこともあるね。寝ていたベッドや愛用のもちもの、それにモンスターボール」
感傷にひたりながら聞いていたわたしは最後の言葉にぞくりとした。
モンスターボール……。主を失い閉じたままのモンスターボール。土の下に閉じ込められた中身のわからないモンスターボール。あるいは……。
二人に目をやると、同じものを想像してしまったのか顔を凍りつかせている。
ロストタワーへの入り際ですれ違った親子を思い出す。
むくろが見つからないってこともあるからなあ、と言う職員に軽く礼を言って足早に下の階へ向かう。
屋上のどうぐ目当てらしき二人組が傍らを駆け抜ける。彼らをよけつつ、わたしは悪寒に耐えていた。
階段を下りても下りても、頭の中の「違うの」の声が鳴りやまない。いったい、なにが違ったのか、考えたくなかった。
シンオウ怖い話/墓
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凍結されています。