- 3年前に書いたSSの
焼き直しリメイクSSです。 - 登場人物は旧ミバちゃんねるで活動していた人達になります。たまに小ネタもアリ
- ジャンルは能力バトル系SSです。
- 感想、その他ご意見等あれば遠慮なく書き込んでください。
用語・設定解説トピ
登場人物 解説トピ
イラスト・挿絵提供:エマ(@Kutabare_)
- 作中関西弁監修:うめぽん(@a39f7723d5)
- 主なリスペクト作品:『東京喰種:re』『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』…その他諸々
#Channel chapter
#01「灰とネズミ」>> 1~>> 20
#02「籠の中の鳥」>> 23~>> 44
#03「胎動」>> 46~>> 65
#04「Cheap-Funny-SHOW」>> 71~>> 88
#05「幼猫と誅罰-戯-」>> 89~>> 96
#06「幼猫と誅罰-壊-」>> 97~>> 120
#07「野蛮」>> 121~>> 137
#08「Mayhem of prison blake」>> 138~>> 179
*
「ミーバネルチャ」それがこの国の名前
ミーバース連邦でも屈指の大都市で、人口はおよそ3876万人
他所からは「活気もあって治安も良い国」「街並みも美しく観光地にもうってつけ」なんて評判らしいが、私はこの国の腐敗し穢れた場所を知っている。
ミーバネルチャ
ここ、ミーバネルチャ
商業ビルの廃墟が立ち並び、古びたアパートメント
ごく庶民的な料理を振舞う屋台もあれば非合法な物品を売買する露天商もある玉石混交とした闇市
それはこの国の後ろめたいであろう一面だ。
私はそんな場所に生まれ、物心もつかないうちに両親に闇市で売り飛ばされた。
言い値は817
「お待たせ致しました、マティーニがお一つ、一昨日の"ロマネ・コンティ"がお一つでございます。そして────」
「こちら、オレンジジュースでございます。あちらのお客様より"昨日の夜のお詫び"だそうです。」
「は、はぁ…」
未だに何のことか釈然としない様子の私に奥のテーブル席に腰掛けたホーモォの視線に気づく、「遠慮するな」と訴えかけるような目でこちらに視線を送るホーモォの圧に耐え切れず私はコップに口をつける。
「…おいしい、こんなにおいしいオレンジジュース初めてです…あのっ…ありがとうございます!!」
心からそう思った、反射的に私はホーモォに会釈をする。
ホーモォは満更でも無さそうな顔をしながらワインを上機嫌に味わっている。
「ハハッ!ところで、だ灰菜。断片 については星野から聞いたな?」
唐突にミッキーが甲高い声で切り出す。
「はっ、はいっ!でも私は…断片 なんて持ってないんです…本当に……心当たりも無くて…」モジモジ
「ハハッ!心配するな!お前はまだ自分の秘められた断片 を知覚していないだけだ、それについては明日から俺が直々に手解きしてやる。」
気づけばミッキーはグラス片手に私の隣、カウンター席に腰掛けていた。
「そ、そうなんですか…」
「振り回すようで悪いが、灰菜。明日からこの国の命運を揺るがす争いが起きる。俺達は"最悪な未来"を避ける為にやがてその争いに身を投じることになるだろう。その時は灰菜、お前の断片 が必要になる。」
唐突にミッキーの口から出た"争い"、"最悪な未来"という穏やかじゃない言葉の数々に私は目が回りそうになった。
「へ、へー…へへへ…あらそい…?」
「余りにも現実味が無くて目が回りそうか?それもそうだ、いきなりこの国の未来を変える為に力を貸してくれなんて言われても困るよな。ハハッ!俺だって困る。」
体が熱い、身体中が紅潮しているようだ。
眩暈がする、体の平衡感覚が欠落していく
私は意識を失い席から崩れ落ちそうになる。
「…おい、大丈夫か?」
既 のところでミッキーが私の左肩を支えるように掴む。
「ミッキー…ごめん!灰菜ちゃんが飲んだのオレンジジュースじゃなくて"カシスオレンジ"だ!」
「ハハッ!お前はもうバーテンダー失格だな!星野!」
「…申し訳ない」
「こりゃ傑作だな、ギャハハ」
「ハハッ!笑ってる場合かよ、とりあえず俺が部屋まで運ぶ」
薄れる意識の中ミッキーの逞しい腕が私の身体をお姫様抱っこで抱き抱えられるのが分かる。
「あは…これ……おひめさまらっこ………?」
「安静にしてろ、お姫様。」
やがて、私の意識は深い深い闇の中へと遠のいていった…。
もしかしてだけど、SSを通して巧妙な灰菜×ミッキーのカップリングを宣伝している...?
カプ厨脳やめろ
あと、挿絵挟んでくれると情景が一気に浮かびやすくなるからめっちゃ読みやすくて助かってます、神!!
命運を揺るがす争いか……漸く能力バトルが見れそうでワクワクしてきた!!!あと酔った灰菜ちゃんかわいいw
「……ん」
目を覚ますと見覚えのある黄ばんだ天井、窓から朝の陽射しが差し込むのが見える。
どうやら昨日、私は誤ってカシスオレンジを口にして、慣れないアルコールを摂取したことで昏倒してしまったようだ。
「…目が覚めたか、灰菜。」
声の主の方へ体を起こす、ベッドの脇のスツールに腰掛けているのはミッキーだ。
「昨日の夜は悪かったな、星野のドジで酒を飲ませちまった。」
「…ミッキーさん、もしかしてあの時から私のこと…」
「あぁ、ここにお前を運んでから俺はずっとこのイスに座りっぱなしだ、まぁ看病みたいなモンだ、部屋にゲロでも吐かれたら困るしな。」
どうやら彼は昨晩からつきっきりで私の面倒を見ていてくれたようだ。
「ミッキーさん…あの…」
「…あぁ、昨日話したことだろ。」
「……っ!!」
彼はまるで私の考えでいることが手に取るように分かるのだろうか、私が切り出そうとしていた話題を先手を打たんとばかりに先に切り出した。
「昨日は唐突にあんな話を持ち掛けて悪かった、お前はまだ籠から出たばかりの小鳥だ、これから先、俺達がやる事にお前を巻き込むのは酷な話だ。だからまぁ、なんだ。昨日俺が話したことは忘れてくれて構わないさ。」
「…だから私…強くなりたいんです!!」
「…………!?」
「昨日の夜、夢の中で私は考えていたんです。星野さんからもこの国の歪んだ秩序について教えてもらいました…私は確かに籠から出たばかりの小鳥に過ぎません…だけどっ!!」
「私の力が皆さんの役に立てるなら…この国の命運を変えられるのなら…ミーバネルチャという断片者 達の自由を阻む歪んだ鳥籠を壊せるのなら…」
「…私は強くなりたい!!己の運命を己で切り拓けるような、この大空を自由に羽ばたく鳥達のように、私は強く在りたい!!だから…」
「『私を強くしてください』…だろ?」ニヤッ
「…はいっ!」
「他でもないその返事を待っていたんだ、いいだろう。お望み通りとあらばお前を一から鍛えてやる、その秘めたる断片 の扱い方も一緒にな。」
「但しもう残された時間はもう多くはない、俺の"授業"は星野の授業なんかとは比べ物にならない程のスパルタになるぞ、生半可な覚悟で挑めば泣きを見ることになる、今ならまだ引き返すこともできるが…」
「それでもまだお前の中に"強くなりたい"という『覚悟』があるのなら、着いてこい。"授業"は今日からだ。」
「……はいっ!私、死ぬまで頑張ります!」
「死んだら元も子もないだろうがアホンダラ、着替えを済ませたら店の前に来い。」
「分かりました!!」
彼が私の部屋を出て行った後の沈黙、私は浮き足立つ気持ちを抑えゴキゲンな様子で着替えを済ませる。
正直なところ私の心の中では憂鬱や心配の雲は一つもなく晴れやかな歓喜の青空が広がっていた。
私の中に秘められた断片 を自分のモノにすること、自由を手に入れる為強さを手に入れること。
そして─────
その強さの先に手にする真の自由への飛躍。
その全てが心から待ち遠しかった。
この時までは。
*
「アザミ教会から革命の宣戦布告…?」
古き良き街並み を練り歩く緩やかな人の流れが窓から窺えるのはミーバネルチャ中央街に店を構える喫茶店の中、向かい合い会話をするのはミーバネルチャ治安管理局の若き局員達。
「そう!というか玲羽、今日のテレビ見てなかったの?」
「基本おれ、テレビ見ない派だから。」
「それでも治安管理局か〜!って上官から怒られちゃうぞ〜、全く…」
「それで、その宣戦布告って何なんだよ、大水木」
「今日の午後12:00、今から約3時間前突然国内のテレビ放送が電波ジャックにあった訳、その時テレビに映っていたのは自らをアザミ教会の"教祖"と名乗ってね…」
「ふーん、あのカルト宗教の教祖か…」
――――――――
―――――
――…
「ザザッ…ザザザ…あっ、繋がった」
突如通常のテレビ放送から切り替わる、電波ジャックの影響によりノイズが走る画面の中に確認できるのは薄暗い打ちっ放しのコンクリートと思われる一間、カメラの前には赤いフードを被った紫髪の特徴的なボブヘアーの女性が木製の椅子に腰掛けていること。
「ザザッ…皆さん、初めまして、私はアザミ教会教祖、茗夢遊戯 と申します。」
茗夢と名乗った女は淡々と続ける。
「皆さんは断片 という存在をご存知でしょうか?」手品 やお伽噺 、出鱈目 、或いは科学ではまだ解明されていないブラックボックスとして…まことしやかに囁かれているその存在、国は以前公 に断片 の存在を真っ向から否定しました…」
「世間では…
次の瞬間茗夢は血相を変え開き切った狂気の眼 をカメラに映す。
「今から私がその脆弱な主張を、この身を以て覆しそして証明してみせましょうじゃありませんか、"断片 "の存在を!」
そう言うと彼女は懐 からナイフを取り出しその刹那、自身の手で己の首を掻っ捌いた。操り人形 の様にその場に崩れ落ちた。
返り血がカメラのレンズに付着し茗夢はそのまま糸の切れた
この「突然気の狂った女が己の手で首を掻き切る狂気のショー」が電波ジャックによって何十万世帯の家庭のもとへ届けられ、画面の前の彼らが阿鼻叫喚の相を成しているのは想像に難くないことだろう。
しかし、この"狂気のショー"は画面の前の誰もが予想しなかった奇妙な展開を迎える事となる。
頸動脈を切断したことによる失血により即死したと思われた茗夢の彼女の亡き骸が突如、電流が流れたかの様にビクビクと痙攣を始める。
次の瞬間彼女の身体は再び起き上がり、掻き切られた筈の首の頸動脈は凄まじい速度で再生し、やがて頸動脈を皮膚が覆い元の様相を見せる。
「如何でしたか、私はこの断片 を"堕胎戯曲 "と呼んでいるのですが…それは今は超どうでもいいのでさて置き、皆さんの中にも私と同じ様に神の力の断片、断片 を持つ断片者 と呼ばれる者達が人間社会に溶け込み姿を潜ませています、それは何故か…」
「国は我々断片者 を恐れ、その存在を秘匿しているからなのです。この国の体制を作り、既得権益を貪る彼ら権力者達にとって我々の持つ未知なる力はこの国の根幹をも揺るがしかねない恐るべき不安材料なのです。そうして彼らは現在秘密裏に各都市で"治安維持"と称し、断片者 達の回収"を行い我々の同胞の拉致、誘拐を行なっているのです。囚われの身となった同胞達はその後どうなったか、その力を封じる為に幽閉されたまま生涯を過ごすのか、はたまたその力を国の管理下のもとに利用され搾取され続けているのか、それらは我々教会の力を以ってしてもとうとう知る術を見出すことはできませんでした。」
"
「…これがこの国の現状なのです、神から力を賜りし我々断片者 が排斥され、断片者 を持たない悪しき権力者が跋扈する。ならば我々は、今こそ剣を取り革命を起こすべきなのではないでしょうか!"神の力の断片"を持つ我々こそが真に救世を行える唯一の存在なのだから!」
「今こそ我々はこの断片 を使う時なのです、断片者達 が虐げられる時代が終わりを告げる時が来たのです。来たる7月3日を革命の日とし、我々アザミ教会はミーバネルチャの各主要都市、東部街 、北部街 、西部街 、そして…中央街 に置かれたミーバネルチャ治安管理局の支部並びに本部に対し我々は"洗礼"を行う。」
「もし、我々の志に賛同するという隠れ断片者 、もしくは親しい断片者 を庇護したいという非断片者諸君が居るというなら、私達教会は如何なるときでも拒みません。その手を取り同志として寛大な心で迎え入れましょう。」
「それでは皆様、7月3日、革命の日にまたお会いしましょう、それでは皆さんご機嫌よう〜、バイバイ〜」
映像はそこで途切れ各局は皆「しばらくお待ち下さい」という旨のテロップを挟み番組は一時中断された。
―――
―――――…
「…っていうことがあってね~」
「…へ〜、世も末だな。」
「他人事じゃない!おバカ!」
玲羽は大水木の話を他所にプリンアラモードを口に運んでいく。
「それでその"革命"と称したテロを未然に阻止する水際作戦が明後日7月3日の午前7:00時 に行われるって通達、玲羽の所にも来たよね?」
「何それ…?知らね〜、さっき起きたばっかだし…」
「あんたそんな自己管理能力でよくその階級になれたわね…。」
大水木がそう言って溜め息を吐いた頃、玲羽はプリンアラモードを平らげ終えていた。
「"能ある鷹は爪を隠す"のだよ、大水木クン。それじゃ会計ヨロシクー。」
そう言って彼は伝票を大水木に押しつけ足早に店を出ようとする。
「え、は…?奢り?」
「呼んだの、大水木じゃん。おれこの後病院行かなきゃ行けなくてさ、ゴメンね〜。」
玲羽は大水木のしかめ面を気に留めることもなく、背を向けて手を振り足速に店を出た。
「…チクショ〜、やられた…!気づけばいつも玲羽 のペースに乗せられてる…」
「…でも今日、玲羽、いつにも増して肌が青白かったな…ちゃんと健康気にしてるといいけど。」
一抹の疑問を胸に大水木は窓の外、中央街 の街並みに物思いに耽 る。
─────────『#03「胎動」』。
ワクワク
設定や人物の行動一つ一つがすごいかっこいい
*
ミーバネルチャ中央街 、その路地裏でひっそりと営む一軒の個人医院がある。
Re:Zero - Starting Life in Central city 』
『
通称『リゼロ』
とてもクリニックの名前とは思えない、まるでライトノベルのタイトルみたいだ。
おれは今からこの病院の門を潜るのだが、まぁ言わば昔からのツテだ。
今日は予約も入れずに訊ねることもあり、院長が留守の可能性もあった為おれは恐る恐る入り口のドアをノックする、すると中から甲高い声で「どうぞー」と院長の呼び掛けが聞こえた。
おれは院長の在宅に一安心し、ドアを開き病院の中へといつもの調子で足を運ぶ。
「おや、玲羽クン。ご無沙汰じゃないの、今日はどうしたの?」
一人掛けのソファに深々と腰を下ろしてそう訊く院長の名は迫真学 、おれのかかりつけ医師で度々お世話になっている。
「お久しぶりっスね迫真先生、今日は断片 について相談が」
「なんだ、やっぱりか。取り敢えず掛けてよ、少し診てあげよう」
迫真は相好をくずし、椅子を勧めた。露 になった手首を差し出す。
おれは彼に勧められた通りスツールに腰掛ける。
迫真はおれに袖を捲るようジェスチャーを送るのでおれは言われた通り袖を捲り、
迫真はテーブルからルーペを取り出しおれの手首を注視する。
「主な症状は?」
「おれの断片 … "蹣躯屍骸 "が上手く抑えられないんですよ…こういう風に…」
おれが言い終えるより先に手首を腕から突出した"外骨格"がみるみるうちに覆っていく。
「フーン、これは困るよねェ、キミ自分が断片者だってことまだ同僚に黙ってるんだろう?」断片者 の存在を認めて保護してくれたらキミ達も楽になれるのにね、アハハ」
「えぇ、立場が立場なんで。」
「そうだよねぇ…国が
迫真は他人事のように笑う、冗談じゃない。
患者 は真剣に困ってると言うのに、相変わらずこのヤブ医者は、と溜め息を吐きたくなる。
「ところでキミ、今日の電波ジャック見た?」
「…はい、起床して何となくテレビを点けたらそれが映ってたんで」
「フーン、なるほど…ね。」
迫真は首を傾げながら脇に置かれたテレビの電源を点けた。
『…続いて本日のアザミ教会の電波ジャックについてです。元教会関係者の方を急遽お呼びして…』
ワイドショーは案の定今日の電波ジャックの話題で持ちきりだった。
「玲羽クン、これはボクの推論なんだけどね」
テレビを眺めていた迫真が突然口を開いた。
「今日の電波ジャックの教祖の"断片者 についての演説"に…キミの断片 が"共鳴"した可能性がある。」
「"共鳴"…ですか?」
「そう、"断片 の共鳴"。キミの中の断片 が件 の教祖の演説に呼応して、その力がキミの意思に反して顔を出そうとしている…のではないかなって。」
「現に今日までキミはその身に断片 を宿しながら、時々ボクの所に通いながらも周りに悟られぬよう非断片者を装って生活を送ることができただろう?なのに今日になって突然断片 が暴走を始めた…これを件の電波ジャックと結び付けない方が不自然じゃない?」
迫真はさもそれらしく推論を淡々と語る、確かに、彼の推論には一理ある。断片 の共鳴"が起こったのならば…それは自分に限ったことではない。断片者 達もまた"共鳴"を起こし、断片 の暴走を引き起こしているのではないか、と脳裏に最悪のシナリオが過 ぎる。
しかし、もし彼が言う通り"
この国中の
「…ーい、おーい、玲羽クン?聞いてる?」
「あぁ…すみません、少しボーっとしてて…」
「まぁ、とりあえず。今日は"キミ用に調合した漢方薬"のストックを出しとくからひとまずこれで様子見だね。」
「…オエーッ、また漢方薬ですか…もっと飲みやすい錠剤、例えば糖衣錠とかにいい加減してほしいんスけど…」
「ウチもしがない個人医院だからさ、コレしか出せないのよ…ハハハ…」
「それじゃあ、はいコレ、3週間分出しとくから。お大事にね。」
迫真から調合された漢方薬の包みを受け取るとおれは
『リゼロ』を後にした、気づけば日は傾き夕刻だった。
Fラン大学じゃなくてちゃんと人間でよかった
*
住処 の"局舎 "の姿が目に入る。
帰路に就き、ようやく我が
我が国の治安管理局に従事する者は原則として各都市にある局舎内で過ごさなければならない。
階級の昇進や結婚等による特例の事情により「局舎外居住」が許可され、近傍のアパートメントや自宅からも通勤ができるようになるのだそうだ…おれにとっては夢のまた夢の話だ。
局舎の入り口に取り付けられた集合ポスト、「中野」と印字された郵便受けの中を確認すると一枚の便箋が投函されていた。
宛名は『ミーバネルチャ治安管理局本部』、今日の昼大水木が言っていたのはこれのことか。
─────「202号室」
ドアの鍵を開け、おれはベッドの上へ倒れる様に転がり込み、便箋の中身に目を通す。
(以下要約・割愛)
『1)本作戦は本日午前12:00 に発生した公共電波のジャックによりアザミ教会(以下アザミ)教祖を自称する茗夢遊戯 の行ったテロ予告、また同日出頭した教会関係者による事実確認を踏まえ、それらを未然に防ぐ旨の水際作戦である。』午前7:00時 、各都市に存在するアザミの教会堂を一斉包囲、並びに教団関係者へこちらから交渉人を通し説得を試みる。万が一、アザミが投降する姿勢を見せなかった場合、12時間後速やかに教会堂へ強行突撃せよ。詳細は明日の午前10:00 時、緊急治安管理会議にて追々連絡する。』
『2)明後日7月3日
『3)アザミ幹部並びに信者、及び関係者は本日13:00時付を以って本件の重要参考人とし、発見次第速やかに即時拘束せよ。』
…久しぶりの実戦ってコトか。断片 だ。断片者 だと同僚にでもバレたらおれはアザミのシンパだとも疑われかねない。断片 、迫真が示唆していた断片 の"共鳴"、水際作戦…錯綜する様々な不安を迫真が調合した漢方と共におれは喉奥に流し込んだ。
にしてもやけに判断の早い上の連中達だな、それよりも…気掛かりなのはこの
こんな状況になっては万が一
自身の抑えきれない
「ニッガ…」
夕飯も食わず、シャワーも浴びず俺は寝床に着く事にした。何せ様々な不安で眠れそうにない。
「明日早いんだけどな…」
幾層にも重なる憂鬱を肌に感じながら俺は部屋の電気を消した。
*
管理人 の一人、米田純也 。中央街 本部には中央街 3区8丁目7番地に存在するアザミ教会堂を包囲し、彼らの凶行を未然に防ぐ、その水際作戦にあたる部隊を編成する、ここまでで質問のある者は挙手してくれ………居ないのであれば次に進むぞ。」
「それでは、全員の点呼が取れた為定刻通りこれより緊急治安管理会議を始める。」
会議の進行を務めているは
おれは"上"の重役が直々に表に出て指揮を執るという事で本件の事の重大さを再認識する。
「まず、君達に届いた通達の通り君達管理局
「第一に、本作戦はアザミのテロ行為を未遂で終わらせることを主目的とする、その為交渉を通じて穏便に事を済ませるというのが我々の描く理想の筋書き である。
ただし、万が一アザミが我々の説得に応じず膠着状態が続く場合、痺れを切らして向こうから道連れ的なアクションを起こされかねない。」
「そのような最悪な状況を防ぐ為、アザミが12時間以上投降する姿勢を見せないようであればこちらから急襲を仕掛ける、またアザミから何らかの攻撃的行動を起こされた場合も同様だ。無論、我々が取るべき手段は敵の"拘束"及び"制圧"である、彼らがテロを企む犯罪組織であったとしてもその命を摘むことは許されざる行為だ。我々は"愛と平和"を重んじる気高き戦士である事を肝に銘じておくように。」
「そして、先程も述べた通りこれは実戦へと発展する危険性を孕む作戦である。君達が普段務める治安管理任務よりも命を落とす危険性は遥かに高い、その為この作戦は可能な限り自ら志願する者達のみで部隊を編成したい…これよりこの作戦に参加する意志のある者のみが部屋に残れ。無理強いはしない、恥じる事はない、誰でも自分の命は惜しい。」
米田がそう告げると幾人かの局員が後ろめたそうに背を向け、ゾロゾロと会議室を出ていく。
おれは迷ったが昇給と少しの命の危険を天秤に掛けた結果、会議室に残ることにした。
「ふむ…38名か…まぁ上々だ。よし、それでは君達を明日の7月3日7:00 の水際作戦の作戦部隊 とする、異論は…ないな?」
視線の端で残った面々達を確認する…レミート…ヘタル…リョック…バイパーゼロ…そして…大水木…多くの見知った顔触れが並ぶ。
「さて、ここまでで本作戦の概要に関して何か質問のある者は挙手してくれ」
米田の問いに間髪入れず一人の局員が颯 と手を挙げる。
「…どうした?レミート」
「上官殿、内証 ごとはやめて頂きたい。今日話された作戦の内容と昨日我々に送られた通達に書かれていた"話"には些か相違点があるようだが?説明して頂きたい。」
何を言ってんだこの女は…??昨日送られた通達と今日の作戦の伝聞に大した違いなんて無かったはずだ…しかし会議室の中に残った面々の中の数人はレミートの指摘に腑に落ちた面持ちを見せている、俺と大水木とその他有象無象を除いては…
「それについては後で"君達"に内密に話そうか迷っていたところだったんだが…まぁ後々諸君らも分かるだろうことだ…今この場で"その話"をしよう…。」
レミートの指摘を切っ掛けにこの緊急治安管理会議は予想だにしなかった方向へと発展していく…。
「…これは本国ミーバネルチャの極秘事項だったが、我々政府機関は以前より国の公認した断片者 に限り対テロ作戦や組織的な犯行や強力な武器が使用される犯罪に対する"秘密兵器"として運用する方針を固めていた、謂わば断片者 の兵器転用だ。今回の水際作戦はそれらの有用性を国内に留まらず同ミーバース連邦内諸国へとアピールする絶好の機会という訳だ、君達の中の"国家公認断片者 "諸君には通達の際に『本作戦に限り特別に断片 の使用を認める』と伝えた。」
米田の語った衝撃的な事実に会議室の中はどよめく、おれもその例外では無かった。断片者 "で回収対象じゃねーか…)という他の者とは別の理由だったが。
(…それじゃあおれは"国家非公認の
「…つまり、通達通り我々国家公認断片者 は本作戦に限り断片 を使用して良い、と受け取って良いのですね、上官殿。」
会議室内のどよめきを他所にレミートは冷静に米田に問い返す。
「あぁ、要はそういうことだ。ちなみに言い忘れていたが、本作戦で特に成果を上げた者には勲章の授与、階級の昇進も約束する、そして…己の有用性を示した国家公認断片者 の者達には公安対断片者対策課 (通称:公安対断課 )への移籍も検討する。」
公安対断課!?その存在の噂は聞いていたが本当に実在していたのか…。
「レミート、他に質問は?」
「いえ、もう結構です。ご衍義 頂き感謝致します上官殿。」
「…よろしい、他に質問のある者は?」
次々と開示される断片 に纏わる情報群に未だ混乱の色を隠せていない会議室内の者達は返って冷静に努めるように静まりかえっていた。
「…それでは本日の緊急治安管理会議はこれにて終了する、明日は水際作戦決行前に一度またここに集まってくれ、以上だ、解散!!」
水際作戦に参加する者達の表情の明暗は
国家公認断片者 と非断片者 とでハッキリと別れていた、国家非公認断片者 の俺を唯一人 を除いて。
「おーい玲羽〜、レウーン!!」
会議室を出て真っ先に声を掛けてきたのは大水木だった。解 そうとしているのか、おれの目にはそう映った。
こいつはついさっきの米田の話をちゃんと聞いていたのか、その割には随分と呑気な様子だった。
いや、無理に呑気に振る舞って緊張を
「何だよ…こんな気が気じゃないときに…」
「この後、3丁目にオープンしたタピオカ屋さん行こーよー、ウチらの実戦デビュー祝いにでもさ。」
まぁ、こういう時だからこそ息抜きして平常心を保ちたいというコイツの気持ちも分からなくはない。
「しゃーないからついて行ってあげるよ、ボッチの大水木の為に。」
「オイ!誰がボッチだバカタレ!!もう私1人で行くもん!ついて行きたかったら別について来てもいいですけどね!フン!」
うわ…拗ねたよコイツ…これだから3次元の女は何を考えてるか分からなくて恐ろしい。
おれは急ぎ足でタピオカ屋へと向かう大水木にぼちぼちついて行くことにした。
*
…何というか、普段こういう場所に来ないせいか。
店の中の華美な装飾やドぎついカラーリングの塗装壁に思わず目眩を起こしそうになる。
「…なんか店の中キモくね。」
「え!?普通にかわいくね?玲羽くんに乙女の趣味は理解できないか〜残念!」
「理解しなくても別に困ることなんか無いんですけどね。」
「フーン、そういう割にはタピオカ注文してる時はちょっと楽しそうにしてたじゃん。」
「…それはそれ、これはこれ、だから…。」
おれはテーブルの上に置かれた『タピオカ苺ミルク』なる物を恐る恐る口にする………思っていたよりも悪くない味がした。
「ぷはー!!仕事上がりに飲むタピオカも乙なモンですな〜!」
「別に今日仕事という仕事はしてないだろ、ただ話聞いてただけじゃん」
「"ただの話"だったらよかったんですけどね!米田上官がいきなりあんな"極秘情報"をペラペラ喋るから私もびっくらポンでしたわ!」
「大水木、声デカいよ…一応機密情報なんだぞソレ。」
「あっ、そうだった…それじゃASMR で話しまーす…」
(そういう問題じゃないんだけどな。)
「私達だって断片 が実在することくらいはもちろん知ってたけどさ、"断片 の兵器転用"とか"公安対断課"とか都市伝説くらいにしか思ってなかったことを事実として言われたらめちゃクソビビるよね。」
「確かにな、その存在の情報くらいは前もっておれ達一般管理局員にも伝達すべきだった。それなのに今日の今日までそれを秘匿してたってことは"上"にいる連中は何か腹に一物を抱えていても可笑しくはない…。」
「ひょっとして玲羽、またいつもの統合失調症 始まった…?」
「バーカ!これは根拠に基づく推測だろ!?それにナチュラルに俺をビョーキ扱いするな!」
「…玲羽さん声デカいですよ〜」
周りを見渡すと店内の客全員がおれに目鯨を立てている…
これじゃまるでおれは陰謀論を事実のように熱弁するビョーキの男みたいじゃないか…。
「…大水木今日はご馳走様、それじゃ明日また…」
「えっ、もう帰るの?ていうかまた奢り!?」
「いや、出世払いでヨロシク。」
バツが悪くなった俺はそう言って店を出た、背後から大水木の怒鳴り声が聞こえる。
タピオカなんて飲んでいる場合じゃなかった。
そうだ、おれは明日の水際作戦に備えて今日は出来る限りの準備をするつもりだったんだ。
おれは急ぎ足で家路に着き、局舎 へ到着すると明日に備えて荷物を整理する。
戦闘糧食 、管理局員専用の通信機、迫真の漢方薬2日分、用物を次々にバッグに詰めていく。腹筋 、スクワット、背筋…
そしていざとなったなった時に備えて、サバイバルナイフ、配給品のハンドガン…これぐらいか?
自分でも何を考えてるか分からないが柄にも無く筋肉トレーニングを始める。
腕立て伏せの30セットから始まって同じ要領で
久しぶりにマトモに身体を動かした反動で激しい筋肉痛に襲われた、ふと鏡を見ると全身をひた流れる汗より先に血相が不気味な程に青白い事に気付く。身体中に締め付けられるような筋肉痛の比じゃない激痛が走り、忘れようと努めていたはずの記憶が蘇る。
『キミの中の断片 が件 の教祖の演説に呼応して、その力がキミの意思に反して顔を出そうとしている…』
その刹那、右肘の端から突出した"外骨格"が皮膚を突き破り姿を現す、外骨格はみるみるうちに右手全体を侵食するように覆っていく。断片 を抑える為にはこれしか術 を知らない、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も剃刀で手首を切り付ける。
俺は反射的に棚の上から剃刀を取り出し手首を何度も、何度も、何度も、切り付ける。
おれはこの
「やめろ、やめろやめろやめろ!やめろって言ってるだろ!!死ねよ!」
外骨格は手首を傷つけるたびに縮小していきいつしか皮膚の中へと還っていた。
おれがこんなにも"蹣躯屍骸 "を恐れるのには、いつしかおれ自身がこの力に飲み込まれ大切な人間を危険に晒すことがとても恐ろしいから。
大切な誰かをおれの力で傷つけてしまうくらいなら、自分の腕を傷つけていた方が幾分かマシだ。
同期の断片者 達はその力で当然のように他人を守ることができるのに比べて断片 を恐れるばかりで自傷行為 でしか己を抑制できない自分は酷く無様だ。自己嫌悪と劣等感に心が押し潰されそうになる。
生まれ持った
無力感に溺れおれはただただ床に滴る血の上にヘタり込みじんわりと痛む右腕を抱き抱えるように蹲 ることしかできなかった。
「おれはこの先どうすればいい?」
その問いに答えてくれる者は誰もいない。
…とりあえずシャワー浴びないと、だな。温水 が身体中に降り掛かる。
僅かに残った平常心に縋り付く。
身体中に張り付く汗と血痕を洗い流す為にシャワーを浴びよう、脱ぎっぱなしのシャツをベッドの上に放って真っ先にシャワールームへ向かう。
水温は36°、人肌になるべく近い温度で良い。
水栓を捻り
温水が右手首の傷跡に滲みると痛みより快感が勝った、誰かがおれのこの醜い傷跡を受け入れて触れてくれたようでほんの少しだけ心地よさを感じた。
寝巻きに着替え髪を乾かす間、姿見に映る右手首の醜い傷跡が再び自己嫌悪の淵へと引き摺り込もうとする。断片 を少しでも抑える為、そして己の醜い心の弱さを誰にも悟られぬようにする為に。
おれはすかさずそれを忘れるようにして迫真の漢方を飲み、右腕全体に堅く包帯を巻き付けていく。
この忌むべき
明日の水際作戦に支障が出ないよう、既にボロ切れ同然の心身を少しでも癒そうと部屋を消灯し俺は憔悴しきった心身をベッドに委ねた。
*
「君のあの
「猿芝居って…あれでも結構素人声優のあぐかる先生のご指導のもと結構練習したんだよ?そんな事言われたら私も結構凹んじゃうなぁ…(笑)、それにしても思ったよりも連中の動きが早かったね。」
「ハッ!それでもボク達の予想の範疇さ、計画に支障はない、それに予定よりも早く国家公認断片者 の実力も拝見できるのならボクにとっても非常に好都合だ。彼らの断片 には前々から興味があったのでね、今日の"お披露目"が待ち遠しいね…。」
「あっそ、私そういうのどうでもいい〜って感じ。まぁ、断片者 同士のドンパチが生で見れるのも久しぶりだし私も結構楽しみかも♪」
「ククク…それにしてもこの"計画"。見れば見る程慈悲の欠片も無い冷酷無慚な計画だ、"発案者"の顔が見てみたい物だね。」
「冷酷無慚だなんてキミが言えたような台詞じゃないでしょ、白々しいったらありゃしない…ま、何方 にせよこの喜劇が幕を閉じて最後に嗤うのは"私達"だよ。」
「精々楽しい喜劇を演じておくれ、愛しき、哀れな、子羊達。アハハっ。」ケラケラ
#04「Cheap-Funny-SHOW」
─────「ミーバネルチャ中央街 アザミ教会本堂」
7:00 、定刻通り治安管理局はアザミの教会堂を包囲網を敷き取り囲む。断片者 であるレミート、ヘタル、バイパーゼロ。それに加え非断片者 のリョック、大水木、とその他32人の局員。断片 と向き合えず非断片者 として生きる道を選んだ国家非公認断片者 の中野玲羽。
7月3日
「対アザミ水際作戦」と銘打ったこの作戦に参加するのは国家公認
そして────己の
彼等は付近の商業ビル内や路上に停めた車、建物の陰に息を潜め教会堂内部の動向を注視する。
「バイパーゼロ、時間だ。交渉に赴 け、決してアザミの信者共を刺激するな。」私 パイパーゼロ、"交渉"に向かうで有ります。」
「了解です、レミート少将殿。それでは
この作戦を現場で指揮するのはレミート・フィクスフリット、現時点での階級は"少将"。眼光炯々 として監視を再開する。
そして本作戦で"交渉人"として抜擢されたのはパイパー・ゼロ=フレンス。階級は"大佐"。
慎重な足取りで教会堂の入り口の扉へと向かう彼を他の局員は見届けた後より一層
バイパーゼロは扉越しに教会内の信者を諭すもアザミの信者は聞く耳を持たない様子で膠着状態のまま時間は過ぎていく、バイパーゼロの"交渉"を彼の装着した無線越しに聞いていたレミートは余りに状況は何の進展も見せないので苛立ちを隠せずにいた。
「チィッ、カルトの犬共が。奴らには交渉よりも啓蒙が有効なのではないのか?」
一方その頃、時を同じくして付近に停めた車の中より、大水木と玲羽は教会堂の動向を観察していた。
「なぁ大水木、マジで暇過ぎる、コンビニでオムライス弁当買ってきてよ」
「は〜〜〜私がパシリですか!?しかもこんな有事のときに!?」
「有事つってもなんも起きねーーじゃん、それに今朝早いから朝飯食べ損ねたんだよ。そこんところを頼みますよ、大水木サン。」
「…しょうがないから買ってきてあげますよ!私の器の大きさに免じてね!それと玲羽、この会話無線で怖い人 に聞かれてるよ。」
「えっ、ちょっ…マジかよっ!?」
『ザザッ…その通りだ愚か者 、事はこれから起きるのだ、危機感の欠如を自覚しろ。貴様にはどうやら"上"に"再教育"の申請書を提出する必要がありそうだ。』
「いや…これは場の空気を和ませるための冗談で…」
『貴様の"その場を和ませる冗談"とやらは無線を通じて他の局員の士気を下げかねない痴 れ言だ。これからはその弛緩 とした態度を自重したまえ、玲羽"准将"。』
「ハイ…スイマセン…」
『それと大水木大佐』
「わ、私!?なんですか!?」
『私達が待機する教会堂向かいのビル2Fへ、缶コーヒーを一つとカスクートを一つ、差し入れてくれないか?』
「え、レミートさんまで私をパシ…御遣いに行かせつもりですか!?」
『あぁ、私の見込みではこのヤマは思っていたよりも長丁場になる、その為の養生なのだ。勿論賢明な大水木大佐なら私の要望を一つ返事で快諾しくれるだろうな?』
「あ、わかりました…それでは買い出し行ってきます…(マジでこいつら覚えてろよクソ〜〜〜〜〜〜!!)」