真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 64

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ちゃむがめ 2021/07/04 (日) 17:46:10 修正




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…何というか、普段こういう場所に来ないせいか。
店の中の華美な装飾やドぎついカラーリングの塗装壁に思わず目眩を起こしそうになる。

「…なんか店の中キモくね。」

「え!?普通にかわいくね?玲羽くんに乙女の趣味は理解できないか〜残念!」

「理解しなくても別に困ることなんか無いんですけどね。」

「フーン、そういう割にはタピオカ注文してる時はちょっと楽しそうにしてたじゃん。」

「…それはそれ、これはこれ、だから…。」

おれはテーブルの上に置かれた『タピオカ苺ミルク』なる物を恐る恐る口にする………思っていたよりも悪くない味がした。

「ぷはー!!仕事上がりに飲むタピオカも乙なモンですな〜!」

「別に今日仕事という仕事はしてないだろ、ただ話聞いてただけじゃん」

「"ただの話"だったらよかったんですけどね!米田上官がいきなりあんな"極秘情報"をペラペラ喋るから私もびっくらポンでしたわ!」

「大水木、声デカいよ…一応機密情報なんだぞソレ。」

「あっ、そうだった…それじゃASMR(ひそひそ声)で話しまーす…」

(そういう問題じゃないんだけどな。)

「私達だって断片(フラグメント)が実在することくらいはもちろん知ってたけどさ、"断片(フラグメント)の兵器転用"とか"公安対断課"とか都市伝説くらいにしか思ってなかったことを事実として言われたらめちゃクソビビるよね。」

「確かにな、その存在の情報くらいは前もっておれ達一般管理局員にも伝達すべきだった。それなのに今日の今日までそれを秘匿してたってことは"上"にいる連中は何か腹に一物を抱えていても可笑しくはない…。」

「ひょっとして玲羽、またいつもの統合失調症(アレ)始まった…?」

「バーカ!これは根拠に基づく推測だろ!?それにナチュラルに俺をビョーキ扱いするな!」

「…玲羽さん声デカいですよ〜」

周りを見渡すと店内の客全員がおれに目鯨を立てている…
これじゃまるでおれは陰謀論を事実のように熱弁するビョーキの男みたいじゃないか…。

「…大水木今日はご馳走様、それじゃ明日また…」

「えっ、もう帰るの?ていうかまた奢り!?」

「いや、出世払いでヨロシク。」

バツが悪くなった俺はそう言って店を出た、背後から大水木の怒鳴り声が聞こえる。
タピオカなんて飲んでいる場合じゃなかった。
そうだ、おれは明日の水際作戦に備えて今日は出来る限りの準備をするつもりだったんだ。

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