真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 179

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相原ガガ美 2022/10/12 (水) 16:32:43 修正




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天蓋を穿つ大きな穴、青天井から爛々と射す光に照らされた残骸とそこに臥す死屍累々が、ここで起きた災厄を物語っていた。


「前代未聞だ、ミーバネルチャ(この国の)パノプティコン(一国家機関)が一夕にして瓦礫の山(スモーキー・マウンテン)同然だ。」

「調べが付きました、ナイヤガラさん。」
「やはり"鼠"の仕業です。しかも厄介な事に数匹の群れでの犯行ですね。」

いんくさん、被害状況は?」

「施設に従事していた看守が66名殉職、その内獄卒七階層(セット・アグザ)の看守長が6名、秋晴善影署長も含まれます。
加えて収容されていた囚人も36名の死亡が確認できました。」

()れも6の倍数、連中は余程(よっぽど)数字遊びが好きらしい。」

「そして今回脱獄した囚人のうち、レート:B以下が23名、レート:Aが10名、レート:Sが6名、レート:SSが3名の計42名の断片者(フラグメンター)の所在が不明です。」

「例の科学者の検体…か。あの眼鏡兄貴(科学者)、こんな重大な失態(ミス)を犯して且つ救えたはずの同僚を見殺しにして、どうして冬将軍さんから処罰を下されないのか不思議だな。」

「それは彼が替えの効かない賢才で、この国にとって有益な技術者だからです。」

「ここで失われた命は、いくらでも替えが効くって言いたいのか?」

「…?私もそうは思いたくないですが。」

「失敬…何でもないや、今のは気にしないで。」いつもの発作だから
「話を戻して…生存者達の容態は?」

(いず)れも外傷は命に別状は無いのですが、ある者は心神喪失状態、またある者は口封じの為か声帯を切除されていたり、またある者は黙秘を貫いていたり、まともに調書を取るのも難航している状況ですね。」
「そこで私の断片(フラグメント)(※重要機密)の使い所さん!?が来た訳ですが。」

いんくさんの傍に車椅子に拘束された1人の青年が押し運ばれる。
黒いゴム質の目隠しを施され両手を椅子の背に結ばれたその青年は昏睡しているようで、ぐったりと俯いたまま涎を溢していた。

「ナイヤガラさん、"ブラインド"お願いします。」私の断片(フラグメント)見られたくないので

「…はいはい。」

「さて、さてさて、少し覗き見させてもらいますよ、あなたの頭の中───」


「───中野玲羽少将くん。」

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