真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 163

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相原ガガ美 2022/02/20 (日) 22:47:09 修正

「いやはや、"戦争"の最中に済まない。私は腹が減っては戦は出来ない性分なのだ…さぁ灰菜お嬢さんお待たせした"戦争"の続きを始めよう…。」

「いいえ、戦争はもうおしまいです。あなたの敗北を以って。」
「踊って、死体と遊ぶな子供達(リビングデッド・ドールズ)


画像1



私の断片(フラグメント)の解号に呼応し、いくつもの死体達が蠢き、眠りから覚めた生者の様に起き上がる。

「なんと…!?君の断片(フラグメント)は死者を使役する断片(フラグメント)だったとは!まるで死体術師(ネクロマンサー)…いや、吸血鬼か!!」

「例え話なんかどうでもいい、灰菜もうキレちゃったんだから。」
「言っておくけど灰菜、戦争は嫌いだけど喧嘩は強いよ?」

「…言ってくれるじゃないか。子娘風情が。」
「その程度の力で私の"闘争"を止める事は出来ないという事をその身を持って教えてやろう!戦争(クリーク)戦争(クリーク)大戦争(クリーーク)!」ズドドドドッ!

モンティナ・マックスから放たれた渾身の弾丸の連射を前にしても、死者(聖者)の行進は止まりはしない。
ただただ、その腐肉を飛び散らせて、全てを飲み込んで進む聖者の行進。
聖者達はモンティナ・マックスの腹の砲身を塞ぐ様に彼を取り囲む。

「離せ!!この食屍鬼(グール)共が!!私の闘争を止められると思うなァ!!!」

身動きの取れなくなった彼の姿を見据えながらゆっくりと、ゆっくりと歩みを進める。
より多くの屈辱と死へと向かう恐怖を与える為に。

「戦争が好き?楽しい?それは嘘でしょ?だって今のあなた、物凄く怯えてる。きっとどこかで自分は死なないと思っていたからそう思っていたんでしょ?」

「知ったような口を聞くな!!お前に戦争の…私の…何が分かる!?」ズドドッ!

窮地に追い詰められたモンティナ・マックスの余力を絞り出して放たれた銃撃が死者(聖者)達の胴体を吹き飛ばした。

「フッ…フハハハハァ!!…やはり脆いな、食屍鬼(グール)の肉は。」
「君は少し勘違いをしている様だが、私は戦争で生じる勝利による愉悦も敗北による屈辱も、私にとっては全てが至上の悦びだ!さっきの窮地に追い詰められた屈辱は特に良かった!!さぁ、灰菜お嬢さん!!まだまだ戦争を続けよう!!!」

「そんなに痩せこけて、もう闘えそうには見えないけど。」

例え己の身が何処まで消耗しようと私の前に立ちはだかる彼の"戦争"に対する執着は常人の枠を逸する程に異常だった。
もう彼に残弾は残っていないだろう。私はカッターナイフの刃を伸ばし少しの罪悪感を抱きながら、彼に迫ろうとした、その時。

轟音、階下から響く地震にも似たその振動はまるで巨大な怪物が唸りを上げて、この階層(フロア)4に這い上がってくるような音が階層中に鳴り響く。
次の瞬間、この回廊の床を突き抜けて現れた真っ黒な大蛇が痩せこけたモンティナ・マックスの肉体を丸ごと呑み込んでいった。
とても現実とは信じ難い目の前の出来事に私は思わず驚いて腰をついてしまう、だが驚くのはまだ早かった。

「機銃、バンホーテンのココア、ザワークラウト、戦争。総評:ゲロ不味(マズ)

その真っ黒な大蛇は人の言葉を話し始めた。

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