真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 126

179 コメント
views
34 フォロー
126
相原ガガ美 2021/11/08 (月) 00:32:08 修正

画像1


雀荘を後にして、俺達は人気の無い路上まで足を運んで一服することにした。

「さっきの無礼の詫びだ、吸うかい?東家のダンナ。」

「いや、気持ちだけでいい。僕は長生きしたいタチでね。」

「そうか、それは結構。」

目の前の健康オタクに申し訳ないが、俺は図々しくもいつものように煙草に火を付ける。

「それと、もう東家のダンナはやめてくれ、勝負は終わって僕はもう"親"じゃない。」
"弁護士"と呼んでくれ、実を言うと僕も君と同じく気軽に名乗れない立場でね。」

「そうかい弁護士、じゃあ俺は"野蛮"と呼んでくれて構わねぇ。」

「野蛮…?どこかで聞いた異名だ、もしかすると僕が思っているよりも君は有名人なのか?」

「さぁな、さてそろそろ本題に入ろう弁護士、アンタは"スターチス"という男について知ってると言ったな?」

「あぁ、ミーバネルチャ(この国)が独立を宣言するより以前、僕は彼に会った事がある。」
「あれは僕の中で強烈なインパクトを残した出来事だっ…。」

「それで、その男の所在は知ってるのか?」

「いいや、知らない、さっぱりね。だけど1つ心当たりがある。」

「心当たり…?スターチスの知り合いか?」

「その通り、彼とよく行動を共にしていた男が一人…」
"ミッキー"だよ、この街を実質的に支配する享楽主義的組織、ショコラテリア首魁(ボス)としてこの街で最も恐れられている男だ。」

ミッキー、その名には聞き覚えがあった。
国の管轄外の国家非公認断片者(フラグメンター)には例外無しにSSS~Cまでレーティングが為される。
その名は唯一、SSSの欄に昂然と座していた。
レートSSS:溝鼠(ドブネズミ)

「あぁ…その男の噂は予々(かねがね)聞いてる、なんでも"未来"を見通す能力があるなんてな。」

「まさか、君はミッキーに会いに行くつもりか?スターチスという男の居所を確認する為だけに?」

「まぁな、そういう仕事柄な訳で。成果も無しにおじおじと帰投する訳にゃいかねーのさ。」

「やめとけ、それは自殺行為に等しい。その上今日はショコラテリアと九龍月華会との間で会合があるなんて噂で持ちきりだ。」

九龍月華会、それは東部街(イーストシティ)を牛耳るギャングチーム。
不成者(ならずもの)同士の話し合いか、場合によってはこの街全体を血で洗う抗争にも発展しかねない、危険な響きだが。

「野蛮、君がいくら強いとはいえそれは自ら一人で猛獣の閉じ込められた檻の中に飛び込むような行為だ、僕は忠告したぞ。」

「フン…上手くやってやるさ」
「後生だ弁護士、その男の居所を教えてくれ。」

「はぁ…"野蛮"の名に偽りは無し…か。」

通報 ...