真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 124

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相原ガガ美 2021/11/07 (日) 22:31:25

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──────ミーバネルチャ西部街(ウェストシティ)「名も無き雀荘」にて。


「ツモ。」

俺から見て卓の右側、西家(ペーチャ)に座る男が呟く。

「チッ…」
俺は思わず舌打ちをする、というのもこの卓で遊戯(ゲーム)が始まって以降聴牌(テンパイ)即リーチにツモ合戦、セオリー通りの塩試合だ。
実力伯仲なら必然的にこうなる事も受け入れるべき展開だが、この遊戯が賭博の意味合いも持つが故か如何(いかん)せんこんな起伏の無い局が何度も続く上、卓上からは俺を含めた遊者(プレイヤー)達の苛立ちを燻らせた煙が立ち込めていたことはその目に見えずとも明らかだった。

「…"スターチス"という男について知ってるか。」

俺は口に出した直後、これは閑話休題にしてはヘビーな話題で、特に俺に課せられた暗殺任務に関するデリケートな話題だった為、しくじったと思った。
予想と同じくして西家(シャーチャ)南家(ナンチャ)遊者(プレイヤー)は「何のことだかさっぱり」と言った様子で首を横に振る。

しかし、その時左側に座っていた東家()の男はただ一人、牌を捨てようとしていた右手がピタリと止まった。

「…リーチ、僕はその男を知っている。」

東家()の男がボソリと呟く。
ここに来て思わぬ収穫だった、情報収集という建前で西部街(ウェストシティ)に着いてから真っ先に雀荘(ここ)に来たことがまさか"吉"と出るとは、思いもしなかったものだ。

「何者だ?君は」

東家()の男が卓上にリーチ棒を置く(かたわら)、俺に問う。

「そうだな…俺は"物好きな園芸家"さ。花の名前を宿した人間を土に埋めて"人間花壇"を作ってる…そんな訳で今は"スターチス"が必要って訳さ。」

「成る程…つまり君は、つまらない嘘を吐く人間なんだな。」

東家()の男がそう言い終えると、さっきまで沈黙を貫いていた西家(シャーチャ)南家(ナンチャ)遊者(プレイヤー)達が立ち上がり、殺気立った目線を俺に投げる。

「さっきの言動やその服装(ナリ)を見る限り、君は"他所から来た物好きな観光客“というところだろう。」

立ち上がった男達が俺に銃口を向ける。

「ここは"無法の地"、西部街(ウェストシティ)だ、君からすればそれはちょっとした悪ふざけ(ジョーク)のつもりだっただろうが、ここではそんな発言の一つが命取りになる。」
「冥土の土産に覚えておくといい。」

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