真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 121

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相原ガガ美 2021/10/28 (木) 21:07:09 修正

ピピピピ、ピピピピ…。


朝の訪れを知らせるデジタル時計(クロック)のアラームが鳴る。
それは午前6時半の時刻が訪れた(しら)せでもあったし、絶え間無く繰り返されている憂鬱が飽きもせずに俺の元に訪れたことの報せでもあった。
俺は窓から差す鬱陶しい陽射しから身を守る様に布団の中に蹲る、そして布団から手探りで掴んだ一向にアラームの鳴り止む気配の無いデジタル時計(ガラクタ)を力一杯に床に叩き付けた。

ピピピピ、ピピピピ…。

アラームは鳴り止まなかった。

「そんなに起きてほしいかよ…しゃあねーなぁ…。」

不本意だったが仕方無い、布団を勢い良く捲り上げ、ベッドから身を起こすと俺は床に転げ落ちても尚(さえず)り止まぬデジタル時計を拾い上げて窓の外、そのまた彼方まで力強くスイングをかまして放り投げた。

「さーて、ゴキゲンな朝の始まりだ。」

その日はいつものように平凡で、憂鬱で、ありきたりで、クソッタレな朝から始まった。

冷蔵庫から適当に取り出したソーセージを縦半分に切って、オリーブオイルを引いたフライパンの上に並べていく。
火を付けたフライパンの上でソーセージを中火で炒めがてら、咥えた煙草(ヤニ)にジッポーで火を付ける。
1日の始まりに吸うその煙草の味は毎朝訪れる憂鬱を誤魔化す為の手段であったが、その煙を嗅ぐや否や、時折脳裏にロクでも無かった両親が煙草を吸う姿を映し出す劇薬でもあった。
まぁ、いまや俺は幾多の人間の脳漿を弾丸で散らして、何事も無かったように怠惰に生活するそれ以上のろくでなしの人間に成り下がった訳だが。

幼い頃、深夜に冷蔵庫からくすねたソーセージを焼いていた時、母親に怒鳴られ、泣く泣くトイレに籠城した胸糞悪い思い出が脳裏によぎったせいか、少し焦げ付いたソーセージに慌てて火を止めて乱暴に皿にそれを移し替えす。

さてさて、本日の"ヤバババーン・ブレックファースト"の完成だ。



───── #07「野蛮」。

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