「今週は大儲けの予感がするぜ~~」
スナック『みちゃき』のカウンターにエージェント缶ビの声が響いている。
ママ 「まぁ、なんか自信ありそうね」
缶ビ 「いや、先週だって、アルゼンチン共和国杯も、みやこSも両方とれたんだけどね・・3連複。
なんせあの配当じゃね。他のレースとあわせたらちょっぴりマイナスなのよぉ~」
サオ 「土曜も合わせたらかなりの負けね」
チホ 「2レースとも保険の部分でとれたわけね。まあヨシとしなくちゃね」
缶ビ 「そうだね。その分でリベンジじゃww」
海底ではタイやヒラメと名乗っていたが陸上ではサオとチホにしたらしい。
ママ 「それでエリザベス女王杯の捜査は進んだ?」
缶ビ 「どうも人気どころが狙い目になりそうなんだ。
今週も手堅く収っても分厚く押さえられるように絞りがきついぜ」
サオ 「エージェント缶ビは絞るのは苦手だもんね」
チホ 「絞りの前に京都の外回りってどんななの?」
缶ビ 「もともと京都は3角登ってからの4角へ向けての下り坂がある。
特に外回りは内回りよりてっぺんがやや高い作りなんだ」
ママ 「今年、改修工事が終わってもそれは同じなのよね」
缶ビ 「うん。しかし、騎手達の話を聞くと4角の周りが若干緩くなって回りやすくなったって聞くね」
サオ 「つまりどういうこと?」
缶ビ 「もともと京都は直線だけではなく3角の下りからロングスパートをかけると
直線一気の斬れ脚よりも、下りの勢いを利用して息の長い末脚を使えるタフな馬が有利になるわけなんだが、
カーブが緩くますます3角からの勢いを持続させれればかなり有利になる」
チホ 「それは?ずばり誰なの?」
エージェント缶ビが大きく息を吸い込んで見回した。
エルキュール・ポワロが謎解く瞬間のように、にこやかな笑みを浮かべてもったいをつけた。
缶ビ 「それはハーパーだ。狙ってたんだが・・残念だが今3番人気だ。」
ママ 「え~、5~6番人気かと踏んでたのにね」
サオ 「なんでハーパーなの?上がりが早そうなのが他にもいるわ」
缶ビ 「最速上がりで直線斬れ味を見せるよりも、しっかりした末脚がありつつ、
そしてさっきも言ったように長く持続する末脚・・それがハーパーに当てはまる」
チホ 「終いがしっかりしてるから差し馬のイメージを持ってたけど、好位から抜け出すタイプだわ」
缶ビ 「新聞によるとデビューから今まで、一度も上がり3F最速で走ったことはない」
ママ 「そうだわ。どうしても怪物リバティアイランドに目が行っちゃったけどね」
サオ 「そうそう、秋華賞ね。マスクトディーヴァもすごかったわ。4着のドゥーラだってあわやの末脚だったわ」
チホ 「エリの舞台ではむしろハーパーのように早め抜け出してロングスパートをかけた方が有利なのね」
缶ビ 「距離は伸びるがオークス2着のスタミナも忘れちゃ困る。
この2回開催からの京都外回りコースの実績からも好位抜け出しが有利だ」
缶ビ 「外回りコースでの1~3着馬の4角通過順を拾ってみた。
ただ、少頭数・・たとえば6頭立てでの6番手追走なんて追込みっていって良いのかどうか・・。
それで10頭立て以上を除いたデータも出してみた」
ママ 「平均っていって良いのかどうか・・4~6番手通過が多いのね」
サオ 「出走数の半分より前を先行・好位とみるわけね」
チホ 「赤く塗ってるところね。先行有利なのね」
缶ビ 「ただ、差し馬が全く来ないというわけではないからね。
もし他の競馬場でほぼ互角に走る2頭が京都で走ったら、
直線一気よりも先行抜け出しの方が有利・・というくらいの押さえが良いよ」
ママ 「ハーパーがそう言う感じなのね」
サオ 「勝ちきるって言うより、3着は外さないぞって感じね」
チホ 「そうなると3番人気ってのが悩ましいわね。当たり前・・って感じじゃん」
缶ビ 「そうなんだよ~。ブレイディなんちゃらだっけ、そのあたりと一緒に来たら先週の二の舞だけに
大儲けのためには絞って厚めに行くかぁ。
それにしても覚えづらい名前だ。ブレイディヴァーン?」
ママ 「ヴェーグ!」
缶ビ 「今まで4戦、それこそ全て最速上がりだ。ハーパーとはタイプ違いだが、
これはこれでこりゃ強そうだ。ブレイディヴォーン」
ママ 「ヴェーグ!」
缶ビ 「1番人気に押されてる。あと1頭何が絡んでも安そうだなぁ。ブレイディバーグ」
ママ 「ヴェーグ!」
サオ (なんかBGTの『トニーカク』の様相を呈してきたわ。ドンウォリー・アイムウェアリング・・パ~ンツ!的な)
チホ (ママまでアマンダみたいになってる。エリザベス女王杯だけにBGTなのね)
缶ビ 「さっぁ~みんな一緒に~! ブレイディ・・」
3人 「ヴェーグ!」
このあとゴッドタレントごっこが真夜中まで続くのだった。