半装機式オートバイは3人を乗せて台湾の街並みを走り始めた。
……ところどころ先の爆撃の後が見える。軍の報告によれば"民間施設への被害は最小限に抑えた"との事だったどうやらもう一度問いただした方が良かったかもしれない。ただ、人の姿が見えるだけまだマシな方なのだろう。
そんなことを考えていると前部座席の方から少し物音が聞こえてくる。どうやら音楽でもかけようとしているようだ。
「Oh Danny boy, the pipes, the pipes are calling〜♪」
…何処の曲だ?あまり音楽には詳しくないのでよくわからない。
「ダニー・ボーイ、アイルランド民謡です。大佐はよくアイルランド民謡を聞いてるんですよ」
おそらく考えていることがバレていたのだろう。台湾に来て初めて聞く音楽がアイルランド民謡とはますます可笑しく思えてくる。
とりあえず軽く相槌を打ちその場はやり過ごすことにした。
…どのくらいの時間が経っただろう。そろそろ国境が見えてくるはずだ。講和会議終了後、クリーパーにより統一されていた台湾はリバティニアを中心とする三国により分割統治された。その間に位置するのがこの国境線である。
思っていたより随分簡素な国境だ。鉄柵と有刺鉄線のみがひたすら続き、20~30m間に兵士がいる。検問所ももはや窓がついたコンクリートの箱に過ぎない。
「Hey, stop!」
国境警備についていた兵士がこっちに言っている。おそらく中国人のリバティニア兵だろう。
「どうします?私達はチェコの軍人ですし…」
「じゃあ私が説明しておきましょうか?私はリバティニアの軍人ですし英語の方が話も早く終わるでしょう」
「…そうですね。お願いします」
「I'm from the Libertinians Army. Let me through here.」
「What's with the woman and the man?They don't look like Libertinians to me…」
「They are guests from the Czech army.」
「Okay, I'll do it. Let me see your ID.」
「Here you are.」
兵士は検問所の中へ戻っていく。どうやら上層部にチェックしているようだ。
「…OK. You can come through.」
「Thank you」
3人を乗せた半装機式オートバイは再び走り始めた。
「ダニー坊や、バグ・パイプの音が呼んでますよ」
…改めて考えるとマジで変な特殊部隊ですね、こいつら()
しかもそのくせ珍しく人外いないという()
あ、次はこっちが書きます。
感謝の極み……