ケッテンもどきの上には2人の軍人が乗っていた。
1人は…おさげ髪の迷彩服を着た20代ぐらいの女性。
もう1人は…空挺部隊のロゴが入っている870カヴァリー・ハットを被った40代の男性だ。
「あ、多分あの人じゃないですか?」
「どの人だ?」
「ほら、あの灰色長髪の女の人」
「…あ、あの人か。 あの整備服着てる人。」
「違いますよ、そっちじゃなくて階級の高そうな軍服の上にコート着てる…」
…さっきと比べようが比べまいが、ずいぶん下手な歓迎だ。
特殊部隊なら、もうちょっといい感じの迎えをよこすと思っていたが、
どうやらここの人々にそんなことはできる出来ない以前に思いつくことすら無さそうだ…
「あーほら。この人ですよ、この人。」
「あー、この人か。 なるほど、確かに特徴と一致…」
「ちょっと、そこの2人? 何してるの?
…もしかして、迎え?」
「あ、そうですよ。 チェコクリパニア軍第11自動車連隊所属第一特殊小隊隊員、ライラ・ニーニコスキです。」
「もう一回言ってもらえると嬉しいんだけど…」
「えーと、チェコクリパニア軍、第11自動車連隊所属、第一特殊小隊隊員、ライラ・ニーニコスキです。」
「ああ、よく分かった。 次からはもうちょっと略して言ってくれ…。」
「了解です。 で、こっちはハンネス・コイヴランタ大佐。 うちのリーダーみたいなもんです。」
「うちのリーダー…みたいな…もん…?」
その言葉に軽い精神的ダメージを与えられたハンネス大佐を横目で見ながら、
後部座席(?)に腰掛ける。
「それじゃ、出発しますか。」
「出発? いったい何処へ?」
「本隊の駐屯地、兼第一特殊小隊本部です。」
「駐屯地と兼用? 個別に作られてないのか?」
「ええ、うちはセルフ特殊部隊なので」
「…?」
正直、言っている意味が分からない。
多分、もともと臨時編成された部隊がそのまま正規軍になったとかそういうのだろう。 多分…
その言葉に対するありとあらゆる疑問を黙殺しながら、
ケッテンもどきは南に向かって走り出した。
「チェコ軍… いざ会ってみると、ずいぶん変な軍隊だな…。 」
チェコ軍を風評被害の巻き添えにしつつ、半装機式オートバイは南台湾共和国へと突っ走っていった…。
あざっす!()良い感じです!
とても上質な茶番だぁ…