連合王国
補助龍 6641dc4fb6
2024/11/28 (木) 18:28:19
フレデリック・リーは、座席に寄りかかって、まるで人生の頂点にいるような、それでいてもっと上を目指したいと思っているような雰囲気を顔し出していた。 楊に『どうぞ』と声をかけ、隣の席に座るように合図をした。リーの視線は、窓ガラスの向こうの街路樹の上に交差する鮮やかなネオンの看板に注がれた。
「福江は、私の長年の旅の中で、最も浮き浮きしているところです。私の経験では、人は旅をすればするほど故郷を知ることになるのですが、限界や伝統を越えて不可能を可能にしょうとする旺盛な意欲は、ここでしか見られません。皮肉なもので、福江は不可能を可能ににする都市であるにもかかわらず、人々は絶え問ない欲望に身を投じているのです」
『なるほど』
楊は息を呑んだ。リーの言業の速さに、よく分かっていながら、うなずきたくなる自分がいた。話の流れを変えようとすると、リーが割り込れできた。
「この気力の使い方を知っている者は私以外誰一人としておりません。私はこの土地と、その欲望と恐怖に他の誰にも真似できない形で同調することができるんです。この土地で成功しようとするならば、大なり小なり私の助けが必要でしょう」
リーは満面の笑みで脅威を覆い隠したが、それには楊が嫌々うなずいていた。
「そして、もしあなたが許してくれるなら我々はとても友好的になれると思うのですよ、行政長官」
楊は、ネクタイを緩めたい衝動と戦いながら、リーのあまりの手際の良さに苛立ちをだせなかった。 楊は今日一日、襟を立てて過ごすことになりそうだ。
親切な、しかし危険な男だ。
フレデリック・リー
福江国の財務長官にして三曾会のリーダー。カジノの運営などを行っている。
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