「初めまして…かな。よろしく頼むよ。アリシア担当官」
アリシアはこの女に見覚えがあった。あの忌々しい財団に所属していたころに閲覧した、イラク内戦において中央情報部門に所属し、大きく活躍していた女性エージェントの人事ファイル。
「あなたがエージェント・ヘックス…イラクでは我々の耳になってくれたと聞いた。感謝しているよ」
ヘックスは謙遜して首を横に振る。無機質なLEDライトが彼女の帽子を、サングラスの向こうの翡翠を薄く照らしている。彼女が座るソファの後ろには2人の黒い装備を着た兵士が立ち、1人は彼女に半ば抱きついている。彼女はほぼ無視しているが。
「私は仕事をしていただけだよ。あなたとて同じだったはずだ。早速だが、我々が貴女を訪問した目的をお話ししよう。単刀直入にいうと現在帝国やファントム協力の下南米のドーザー連中とその元を根絶やしにしようという作戦が計画されている。2つだ」
ヘックスは内容を包み隠さず話した。アリシアは最初は半信半疑のようだったが、終わりには彼女を信じている様子だった。冷め始めたコーヒーが天井を映している。
「…と、軍は制圧に、
「協力…とは具体的に?言っておくが、財団が無くなってからは防衛技術開発局の副長をしているだけだ。別にそっち側を覗いているわけじゃ…」
「『シュガート』」
ヘックスが被せるようにその名前を発すると、アリシアは目を見開いて驚愕する。その目には小さな復讐心が見受けられる。
「どうやら貴女にこの名前はかなり効果的なようだ」
クックッと笑うヘックスとは対照的に、アリシアはヘックスを睨みつける。彼女の隣でだらけていた兵士が動こうとすると、ヘックスは左腕で制した。
「この件には彼が関係している可能性がある」
「…どういう意味だ」
態度を崩さないアリシアを意に介さず、ヘックスは話を続ける。
「彼ら、ボリバル連合軍の一部は旧財団の装備を少数だが保有しているようだ。SAMやAAAは無いようだが、軽装甲機動車などが偵察機で発見されている」
ヘックスは立ち上がり、アリシアの隣へと歩き始める。護衛の兵士たちは動かなかった。
「その兵器を流しているのが、彼のようでね。今は武器商人気取りかな」
アリシアは座ったまま、隣に立つヘックスを見上げる。帽子の下は影になり、サングラスの向こうは愚か、口元の笑み以外はわからない。
「どうだい、協力者にならないか?悪いようにはしないしないさ。それどころか君はずっと追っていた相手を捕まえられる」
ヘックスは右手をゆっくりとこちらに差し出す。その手は白く華奢なものだったが、人差し指の付け根に切り傷の跡があった。
「…いいだろう。使われてやる。だが絶対掴めるんだな?」
「もちろんさ。じゃなきゃ君に声を掛けていない」
魔女が微笑む。手をとった。
ヘックス…、
ヨルムンガンドにそんな人いましたね()???「アァァルゥゥゥ!!」(SCARを構える)
うーんこれは愛国者ですね()