南米カルテル紛争前日譚
セレン「前回の会議で決定致しました通り、北米独立国家連合の要請による南米カルテル鎮静にむけて会議を行います。」
首都ヌークにある議会の会議室。そこには上院メンバーである首相ハイドロジェン、秘書セレン、軍事担当大臣であるプロメチウム、外交担当大臣のテルルが集まっていた。
“南米カルテル”これは南米のパナマ周辺に蔓延る複数の麻薬カルテルを表している。
プロメチウム「北米独立国家連合の要請に従い、北米のICF関連国家及び企業が部隊を派遣する予定であり、それにプラスしてモルトラヴィス帝国とその友好国も同じような動きを見せている。」
テルル「ICFと複数の国家が南米に集います。あらかじめモルトラヴィス帝国と敵対カルテル鎮静化までの限定的な許可と、該当地域での部隊を事前に共有することを前提に軍事行動の許可を頂きました。」
…既に根回しは済んでいた。南米のモルトラヴィス帝国の領土と距離の近い北米独立国家連合が共に麻薬摘発に向けて動き出したことによって、北米関連のICFも限定的ではあるが軍事行動の許可が出た…
ハイドロジェン「…ということになる。話は事前に受け取っていた。サウジの事もあるけど、これから軍は南米に向けての部隊派遣と物資輸送に勤しんで欲しい。」
麻薬は中毒患者を増やし、最悪国を滅ぼす因子となりうる。今は南米ではあるが、これから北米や自国の領土まで侵食してくる可能性は高い。叩くなら…今しかない。
プロメチウム「かしこまりました。統合参謀本部にて話し合いを行います。」
ハイドロジェン「ありがとう。話がまとまり次第、私の方に提出してほしい。他の国との摺り合わせもあるからね…」
〜統合参謀本部〜
プロメチウム「…とのことだ。政府上層部は南米のカルテル沈静化にむけて部隊派遣を行う事を決定している。我々は具体的な派遣内容を後に首相に提出する予定だ。」
統合参謀本部には軍事担当大臣であるプロメチウムに合わせ、統合機動軍総司令官のネプツニウム、統合支援軍総司令官のプルトニウム等の各関係者が居合わせていた。
プロメチウム「今の所、第一目標はパナマ湾の制圧。その後各地に点在しているカルテルの沈静化を行う予定だ。統合機動軍の戦力はどうなっている?」
ネプツニウム「現在、第1機動陸軍及び第1機動海軍、及び1個大隊規模の飛行隊がサウジアラビアの避難民保護区の維持に努めています。一部の戦力を本国に残しつつ残りを派遣する予定になります。」
現在起きているサウジ戦争では、ICFは避難民保護区の設置と維持に努めている。統合機動軍はその1/3〜1/4を派遣している事と、有事の際に幾らかの戦力を残しておきたい事から、全戦力での対応は不可能であった。
プルトニウム「我々統合支援軍も輸送艦及び輸送機の手配は済んでおります。」
ネプツニウム「ありがとうございます。現在直ぐにでも派遣出来る戦力として、精鋭部隊である<Sledge-Hammer>をパナマ湾制圧に向かわせます。サウジ派遣でも保護区の初期対応をしてくれました。休暇は終わりますが今回も充分に働いてくれるでしょう。」
<Sledge-Hammer>は現実世界でいうところの両用即応群で、第3機動艦隊を中核とした上陸部隊や航空部隊といった陸海空の戦力を有する統合機動軍唯一の精鋭部隊である。
プルトニウム「彼らは長期的な活動を行うはずです。ICFと合同で動けるように大型輸送艦を配下に付かせますので、物資輸送等お好きに使ってください。」
この紛争が終わるまで彼らが本国に帰れるかは厳しい…なら物資等補給に困らない用に動くのが統合支援軍の役目だ。そうでなければ彼らを独立させた意味がない。
ネプツニウム「感謝致します。パナマ湾制圧後に統合機動軍の戦力を輸送し、他カルテル組織の沈静化に努めます。軍事担当大臣、その方針で宜しいでしょうか。」
プロメチウム「分かった。その方針で動くとしよう。」
<破滅の因子に鉄槌が下される>