「ということで……何か質問のあるやつは?」
薄暗い会議室の中に数名の職員が座っている。そして他が真剣に聞いてる中、一人だけ不満があるような顔をしていた。
「はい」
「仁。何の質問だ?俺は確か質問が出ないほど完璧に話したと思うけどな……」
仁の上司のケインが頭を搔きながら言う。
「任務ではなくてですね……なんで僕がこの会議に出席しているのが疑問なんですよ!」
バンッ!と机をたたいて怒る仁。彼の顔からは「なんでこんな僕がここに???」という疑問を抱いているのがわかる。そして彼が言っている「この会議」とは「対麻薬カルテル紛争作戦立案」を行う会議である。
「などと言っております同志バンパー」
「なるほど。シベリア送りだ」
「あのブラウ作戦のネタ画像をここで引っ張り出さないでくれますか!そしてシベリアはもう行ってきたことあるので結構です!」
彼はいつも以上に機嫌が悪かった。
「しかしなんでお前がここにいてはいけないんだ?適役だろ?」
「バンパーは分かりますよ。元対テロ部隊の隊員ですから、このような任務の作戦立案は得意と。
ガスターも分かりますよ。情報部の職員ですし、ガンマ-5の名目上の隊員でもあるし……」
一呼吸おいてまたしゃべりだす。
「でもなんで僕がいるんですか?部署は広報部、兵種はスナイパー。今回の会議に使える要素は一個もないですよ」
言いたいことを言いつくした仁は椅子に座りなおす。一方でケインは自信たっぷりの顔で彼の顔を見返した。
「でもお前は元帝国兵士、かつ元KRPの傭兵だ。そしてお前の記憶力なら何かしらのことは見たはずだ。
俺はそれを求めているんだ」
持っていたノートを仁の方に投げる。
「それに分かることを全部書け。装備、ビークル、兵力、内部関係諸々全てだ」
「でも……これを知ったところで何をするんですか?今回の任務は国際協力の対麻薬カルテル紛争じゃないですか?」
首をかしげて聞く。
「確かに対麻薬カルテルの紛争だ。でも同時に……」
「それらと関係のあるすべての組織を破壊する任務でもあるんだ。例えばKRPね」