「こちらブラボー・ノーベンバーより本部。
今の戦況を確認したい、オーバー」
「こちら本部。昨日深夜に敵軍の攻勢があり、
チェコ軍の防衛戦が突破された。
敵軍は包囲から脱出しつつある。
予備兵力と撤退させた兵員で防衛戦を構築中。アウト。」
一方そのころ、テオドル・リネクは無線で現地司令部から戦況を聞き出していた。
状況はこちら側にやや有利と言ったところか。
(…これで、敵が進める進路は一つだけか)
それを聞いた後、彼は無人機オペレーターの所へ向かって歩いていく。
「やあ。 どうだ、敵の動きは?」
「偵察機をひっきりなしに飛ばして探してます。
まあ、すぐに見つかるでしょう」
「そうか。見つかったら教えてくれ」
「はい。 見つかったらすぐにでも… ん?」
「どうした。 何か見つけたのか?」
モニターを見ると、木が茂っている山道の中に
何かがうごめいているのが見える。
「敵か?」
「さあ… もうちょっと近づいてみます」
次の瞬間、カメラのフラッシュにも似た
一つの閃光が映った。続いて映像が急に回転し始める。
「畜生、撃たれた! 墜落するぞ!」
その映像を見て、テオドル・リネクは冷静に返答した。
「そんなに叫ばないでくださいよ、心臓に悪い…
とにかく、これで敵は見つかりましたね…
あとは殺すだけですよ」
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